悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

君たちに明日はない 垣根涼介

面白いが、笑えない。内容が内容だけに。
首切りの外部委託会社、そんなものあるのだろうか?と疑問に思っていたら、やはりそういう会社は架空であり、現実にはない。しかし、コストカッターと言われる某社長なんて、そういう存在ともいえなくもない。バッサリと切るにはそういう人が必要なんだろう。
主人公である村上真介も非常に魅力的なキャラクターとして描かれているが、彼が担当するリストラされる人々もユニークというか非常に特徴を捉えて描かれている。まあ、しょせんはフィクションだからといってしまえばそれまでだが、描かれている世界は現実そのもの。
バイク乗りの主人公のためバイクや車が登場するが、それらは実名。スズキRGガンマやダイハツコペンなどがそうだ。いっぽう登場してくるリストラする会社はもちろん実名ではない。トヨハツ自動車であったり、玩具会社もバカラであったりとかだ。銀行でも五菱銀行なんてね。まあ、そこらは仕方が無いだろう。綿密な調査なんてどの程度したのかわからないが、そういう世界を知らない者にとってはかなりリアルに感じる部分がある。

リストラ勧告に耐え、会社に残ってももはや人材として使い物にはならないだろう。自分のタチがと置き換えて考えるとぞっとする。私は大手の会社でもないし、立場も何も無いものではあるが、それでも仕事があるというのはある意味ありがたい事である。そう考えると今ある仕事をしっかりとやらないといけないと再度認識する。
それにしてもリストラされる側も辛いが、する側も決していい気持ちで出来る仕事ではあるまい。仕事に好き嫌いもないかもしれないが、こういう仕事を続けていくというのも結構辛いのだろう。逆恨みを買う可能性もあるし。私にはできそうにもない。

君たちに明日はない (新潮文庫)

君たちに明日はない (新潮文庫)

ドラマ化もされているようだ。しらなかった。

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