悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

ジャッキー・ブラウン

クエンティン・タランティーノ監督作品。
昨晩深夜、寝付きが悪く、Amazonプライムで見始めてしまった。
2時間半ほどの長い映画。
しかしこれほど長いのに中だるみすることなく鑑賞できた。
個人的には良い映画だと思う。
御大ロバート・デ・ニーロの使い方が凄まじい。
あんなお馬鹿なデニーロを見るとは思わなかった。
どういう役柄でどこで活躍シーンが有るのだろうと思っていたのだが、思慮の浅く、キレやすい、使い所のない悪党だった。
冴えない部分ばかりが印象に残っているがそれもまた名優ゆえのことか。
演じているデニーロもなんだか嬉しそうな感じも伝わってくる。
主演はパム・グリアという中年黒人女性。
そしてタランティーノ作品では外せないサミュエル・L・ジャクソンが悪党として登場。
この悪党の人間性は最低だが、大物ぶっても武器の密輸で稼いでいるオデールという名前のチンピラである。
その小悪党を追いかけているのが初代バットマンを演じたマイケル・キートン
重要なのは有名なデニーロではなく保釈仲介業(そんな職業があるのか全く知らないが)のおっさん。
マックス・チェリーという役柄のロバート・フォスターという俳優である。
このオッサンの高感度がものすごく高い映画。
同世代というよりは少し上にはなるが、共感するようなところがある。
くたびれた感、哀愁を漂わせているオッサン。
職業柄修羅場も相当こなしており、粋がるギャングなんかよりもよほど度胸が座っているとも言える。
主演のジャッキー・ブラウンとマックス・チェリーの中年の恋の行方も何とも言えない感じである。
オデールが小悪党と言うのはその規模の小ささ。
ここに登場する人物たちは暗黒街のボスとかそういうものとはかけ離れている。
片田舎だし、どこをとってもダサい感じが残っている。
何よりも命を張ったお金のやり取りが50万ドル。
いくら70年代の物語とは言え50万ドル。
今で言うところの5−6000万円ほど。360円時代だったとしてもその3倍ほどに過ぎない。
確かに大金だが、血眼になって追いかける警察も小者だし、その全財産を自慢げに吹聴するオデールはヤハリ小物にすぎない。

つまらないと感じる人はとてつもなくつまらない作品だと思う。
人生に躓いているスチュワーデス。副業の違法なお金の移動がバレて、警察に利用される。
と同時に口封じのために命も狙われる主人公。
そこで警察に協力する形を取りつつ、小悪党からお金をさしめる計画を立てる。
やり方は大掛かりな装置や仕掛けがあるわけでもなく、ものすごく地味なやり方。
できるかどうかは度胸のみである。
眠れなくてみた映画でいつ見るのをやめても良かったが、最期まで見てしまった。
見終わったあとは、イマイチだなと言う気持ちとともに何か印象がずっと残っている。
主人公のジャッキー・ブラウンと保釈業者のマックス・チェリーのラストシーンはなんとも言えない味があって、それを出すためだけにロバートデニーロやマイケル・キートンなどを脇役として使ったのかなとも思う。

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