悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

超高速参勤交代

佐々木蔵之介主演。西村雅彦、深田恭子共演の時代劇。
本格時代劇からは程遠く、コメディ作品。
Amazonプライムなので無料。
いや、レンタルDVDも今やかなり安いけれど、それでも無料ではない。
ありがたい時代である。返しに行かなくてもいいし。

さてこの作品、小藩の悲哀がにじみ出た物語である。
参勤交代は江戸時代に藩主が江戸幕府に定期的に出向かせる制度である。
江戸には妻や子供を住まわせたりして、早い話が人質であるが、それ以上に参勤交代にはものすごく費用がかかり、各藩にとってはそれらの捻出にかなり苦労したようである。
幕府にとっては忠誠度を示すためでもあり、費用を使わせることによって力を各藩に蓄えさせないようにした。
これらの制度のおかげで平和を維持していたとも言えるが、陰湿なイメージは抜けていない。
ともあれ、参勤交代の苦労を武士側から描いている。

参勤交代から地元に戻ったばかりの湯長谷藩の藩主、内藤政醇(まさあつ、佐々木蔵之介)は幕府の老中松平信祝(のぶとき、陣内孝則)の謀によって、すぐさま江戸に出向せよとの命令を受ける。
その期間はわずか5日以内。
現在のように高速交通があればわかるが、当時大名行列を組んで宿場町をゆったりと練り歩くのが参勤交代のしきたりみたいなものである。
しかしそんなことは言っていられない。参勤交代の命令に従わなければ藩の取り潰しもあり得る。
小藩である湯長谷藩は先日の参勤交代で財政的にも絶望的な状況。
藩の知恵袋である家老の相馬(西村雅彦)と策を練る。
重要な宿場町のみ人を雇って大名行列を装い、それ以外は山道を抜けて時短を図りつつ、費用も最小限に抑えるという妙案?だった。
ドタバタコメディの要素も満載だが、登場する湯長谷藩藩士たちは個性はあるものの忠義の士。
そしてそのシンボルたる藩主の内藤政醇は庶民の目線に立った非常に小田屋画で質素な名君である。
殿と藩士は文句のつけようがないほど素晴らしいだけに、江戸幕府汚職老中、松平信祝がものすごく憎たらしいのだが、本当にハマり役。イメージ悪いしwww。
田舎侍の集団がこのまま悪老中の罠に〜。
そこで助っ人が登場。抜忍の雲隠段蔵(伊原剛志)が彼ら素人集団を引率する。
契約通りの仕事を果たし、金をもらった段蔵はいったんこの集団から離れる。
途中の宿場町で拾った遊女のお咲(深田恭子)にも内藤政醇が来たら知らせるようにとの触れがあった。
もちろんはや悪老中が根回ししたことであり、さらには隠密も使って彼らを抹殺しようと企んでいた。
一旦離れた段蔵はもらったカネで豪遊。しかし支払いになってもらったカネを見ると小銭ばかり。
このカネを集めるためにどれほどの苦労をしてきたのかを考えるとその藩にまた味方したくなったようである。
執拗な悪老中の手のものにもはやこれまでと思っていたが段蔵や藩士の活躍によりギリギリ参勤交代に間に合った。
そして悪老中の謀が露見する。
至ってわかりやすいストーリーだが、こういう内容は日本人の好むところ。

清貧。勤勉。武士の鑑。

藩主をはじめとして素晴らしい人柄の人達である。

Copyright ©悪魔の尻尾 All rights reserved.