悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

ハリー・ポッター 死の秘宝パート2

映画館へ行ってきた。原作に忠実に作られているので、本を読んでからでもいいし、見てから本を読んでもいいかもしれない。シリーズを通して同じ俳優と同じ雰囲気で作られている。もうすでに10年を経過しているので作品を通してみている俳優、特に子役は成長が著しく、毎回見ているものにとっては遠い存在というよりも近くにいて見守るべきキャラクターへとなっているような気がする。
シリーズ物によくあるのは1作目のヒットのあと急遽続編を作成することになり、話を広げた結果、最終章ではそれらの辻褄合わせになってしまう。あのスターウォーズですらエピソード3は強引なストーリー展開だったような気がする。そういった点でハリー・ポッターシリーズは原作を忠実に守っていたこともあって最後の作品があって初めて完成したストーリーとなるような構成。この作品を見ないと、あるいは本を読まないと完結したストーリーを理解出来ない。
とはいえ、これだけ長いシリーズなので初めて見る人には何が何だか全くわからないと思う。まあ、この映画をシリーズを通して初めて見る人というのはかなり少数派だと思うが。
以前にも書いたが、悲しみが全面に押し出され、笑いのシーン、ほのぼのとしたシーンは皆無に近い。映像も暗めで全体を通して非常に重苦しい雰囲気。しかし映像そのものは非常に綺麗に丁寧に撮影されているので雑な感じはない。
いつものメンバーはこの作品でも当然ながら大活躍。そしてこのシリーズを通しても最も成長したネビル・ロングボトムが強くたくましくなって、大活躍する。我が家ではネビルの人気が高いようである。人間的にも弱いところをしっかりと自覚してそれを乗り越えてきたという点で共感を得ているんだろう。このネビルが真の勇者としてハリーと同じく組み分け帽子からグリフィンドールの剣を取り出して敵を撃つ。まさにラストシーンは彼のために用意されていたような気がする。
全編を通してハリーと偉大なる魔法使いのダンブルドアとの信頼関係にゆらぎはない。しかし死に際にスネイプから与えられた記憶により真実を知る。真実を知ってからはダンブルドアという偉大な魔法使いはなかなかの狸という印象。一方、ハリーにとっては目の上のたんこぶであったスネイプこそがハリーにとっては本当に大切な保護者であったことがわかる。ハリーに対しては愛するリリーの息子という部分と、憎むべきリリーの夫であるジェームズ子供という二つの感情の板挟みにあっている。作品を通して非常に重要な役柄である。
スネイプという人物をフィルターとしてみるとハリーの母のリリーはほんとうに素晴らしいが、父親のジェームズはくだらない人間に思える。純血でいたずらっ子で仲間が多いという部分はあるものの、偉大なことを成し遂げるという素養は感じられない。ハリーが死者たちに対面した時も母のリリーは別格にしてもシリウスやルーピンよりも扱いが軽いように感じる。

ラストシーンの19年後のハリーたちが描かれているが、これは原作にもあった。必要なシーンかどうかはわからないけれど、長い作品を通して彼らの今後が知りたいというファンのためのサービスだったような気がする。それともハリーの息子の名前に込められた感謝の気持ちを表したかったのかもしれない。

結構長い映画だったが、続けてみている人はぜひ見るべき。というかそういう人は観に行くと思うなあ。

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