悪魔の尻尾

みなさ~ん、元気にしておりますか?

青の王 廣嶋玲子

 

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廣嶋玲子さんのファンタジー小説です。
彼女の作品は、「妖怪の子預かります」を読んだことがありますが、とても楽しい本でした。
この作品も子供向けですが、大人が読んでも十分楽しめる内容になっています。
魔族と人間とがいる世界。
魔族は圧倒的な力を持つのですが、人間に奴隷として使われる存在です。

 

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あらすじ

ナルマーンという国で身よりもなくさまよっていた少年ハルーンは、商人によって捕らえられ、奴隷以下の扱いとして井戸に放り込まれます。
そこからたどり着いたところは不思議な塔でした。
塔に閉じ込められた名もなき少女がいました。
ハルーンとそう変わらない歳の少女で、着ているものはとても豪華な衣装で、自分とは身分が違うことを直感します。
しかし、彼女はいつも一人ぼっちで、人が来ると自らの血を差し出すことが彼女の役割でした。
彼女には名前もないと言います。
ハルーンはどんな事があっても彼女を守らなければならないという気持ちになりました。
すぐにはルーンとは仲良くなり、名もなき少女はハルーンによってファラという名前をもらいます。
ファラは魔法の結界によって外に出ることができませんでしたが、ハルーンとともに結界を突破して脱出します。

ナルマーンは王国で、強大な国でした。
その力の源泉は魔族の大いなる力でした。
本來は誇り高き魔族が何も力を持たない人間の言いなりになっています。
その理由は徐々に明らかになります。

ナルマーン王は死期を悟り、後継者を選ぼうとします。

王子のトルハンが指名されますが、彼は平凡な人間でした。
不平を唱えるのは兄のカーザット王子。
カーザットは力のある王子ですが、傲慢で、好戦的な性格でした。
トルハンの弟になるナーシルは物腰こそ柔らかくしていますが、非常に腹黒い性格をしています。
更に末の弟のユージームはまだ幼く、王になろうという野心もありません。

ナルマーン王はトルハンを後の王にすることにしましたが、塔に監禁しているはずの「贄の子」がいなくなりました。
カーザットは父王に「贄の子を連れ帰った王子が次期国王になるべきだ」と進言します。
カーザットを始め、一旦は王の座をてにいれかけたトルハン、そして良からぬことを企んでいそうなナーシルが国王争奪戦に参加します。
そこには大臣や将軍と言った王家に連なる人たちも巻き込んでのことになります。

さてハルーンとファラは塔から脱出したものの、砂漠で倒れてしまいます。
そこで彼らを救い出してくれたのは、孤高の稲妻狩人のアバンザでした。
アバンザは男っぽい女性でしたが、自慢のボロ船の「赤サソリ号」の船長で、彼らを連れて行きます。
翼船という自力で空を飛ぶことのできる船です。

しばらく旅を続けるうちに、ファラが特殊な子供であることがわかります。
そして彼女が「青の王」の子供で、その血が魔族を奴隷として従えるためには必要な存在でした。
魔族の中には人間のしもべとなっていることに強い不満を抱くものもあり、青の王の姫であるファラが死ぬ事によって、この綿々と続く連鎖から逃れられるとも考えています。
ファラは魔族からも人間からも狙われる存在でした。
ハルーンは彼女の運命を切り開くために行動します。
幸いの虫であるアッハームを見つけ出し、赤サソリ号に加えます。
アッハームはまだ幼虫で、要求ばかりしてくるとても扱いにくい、性根の悪い虫だったのです。
王の3人の息子やその取り巻き、そして魔族たちから狙われ続けるファラたちでしたが、アッハームの気まぐれな行動のおかげで彼らにはなかなか見つかりませんでした。

しかしとうとう見つかってしまい、赤サソリ号は撃墜されてしまいます。
進退窮まったときに、アッハームは追い打ちをかけるような願いを要求します。
破れかぶれになったアバンザはそれに従うのです。
そしてそれをきっかけに幼虫だったアッハームは成虫となり、彼らを救い出します。
そしてファラは父王のもとへと連れて行かれ、彼女の本当の名前がラジェイラということもわかるのでした。
父王が魔族を裏切り、人間の奴隷となってしまう理由も判明するのです。
そしてついには彼女は青の王となるのでした。

感想

短編ではありませんが、読みやすい長さの小説でした。
ファンタジー小説で、シンプルなストーリーです。
皇子たちの争いなどももっと深く掘り下げても面白いと思うのですが、そのあたりは児童向けということもあって、あっさりとした内容で終わっています。
この小説も青の王以外にも赤の王とか白の王とかもあるようですね。
この作品にハマった人たちは続編も読みたくなるのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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