同時に読んで読み比べるというのもおかしいけれど、どちらも非常に面白かった。やはり読ませるという文章力というか構成とかがすごいんだろうなと思う。
綾辻作品はあまり関西の色が出ることはないと思う。今まで読んだ「館シリーズ」とかも架空の土地という印象で具体的な土地勘はない。というか館という室内が舞台なので地理的には田舎で人通りが少なければどこでもいいといえなくもない。
貴志祐介の作品、今回読んだ「黒い家」は関西での話。彼自身も大阪出身であり、学生時代は京都、現在は西宮に住んでいるらしい。そういった点で土地の名前が出てくるとやはり実感として近いものを感じる。ふたりとも京都大学出身。やっぱり京大の頭脳がすごいんだろうと思う。
私の小学校からの友人も京大にすすんだが、今は役所勤め。それでも昔からやはり何をさせても優秀なので、役人になるべくしてなったという人物と思っている。本当は教師や教授なんてタイプだと思うけれど。
「黒い家」では保険金殺人というテーマ。テーマ自体は推理小説では定番のものだが、これは推理小説ではない。犯人は前半は分からないが後半は特定されてしまう。ミステリーの謎解きが中心ではなく、心理的に追い詰められていく「怖さ」を感じる本だった。保険金詐欺に関してもさすがに保険会社に努めていただけあって、ところどころに生々しいデータが散りばめられて、リアルである。「潰し屋」というその筋の人間も実際にはいて、表向きはまっとうな保険会社も裏ではそういった組織と深いつながりがあるのかもしれない。伊坂作品に登場する「自殺屋」?「押し屋」には小説だろ?っていう感じがしたが、この「潰し屋」はリアリティがある。
綾辻作品はどこまでも非現実な世界の延長である。まあ、庶民の私が知らないだけなのかもしれないが、今回読んだ「緋色の囁き」でも、そんな学園ないだろ?という感じが常に付きまとう。直感的に感じたのは永井豪の「ハレンチ学園」もしくは「けっこう仮面」である。体罰教師と全寮制というのが幼い頃ドキドキしながら読んだエロティックな漫画を思い出してしまう。全く筋は違うのだが、どうしても「絵」として永井豪の描く女学園が浮かんでしまう。「館」シリーズも火曜サスペンスや横溝正史あたりにある田舎の金本行ったに起こる惨殺劇の舞台を連想してしまう。動機や背景は後付でもなんでもオッケー、とにかく怖さも手伝って読ませてしまうのが綾辻作品ならではということか。
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