悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

梟の城 司馬遼太郎

司馬遼太郎
梟の城
滅びつつある伊賀忍者の生きざまを描いた作品。
主人公の葛籠重蔵がかっこいい。格好良すぎる。
取り巻く人物も魅力あふれるがあくまで主人公の引き立て役にすぎない。
同郷のライバル風間五平、甲賀忍者の大物摩利洞玄。この二人は超人的な能力をいかんなく発揮するが、正統派である主人公にいずれも破れてしまえば、そう思わざるを得ない。
ストイックな忍者を描いてはいるが、恋愛もある。現実離れしている恋だが、文豪の描写によってそれが嘘っぽくない。
重蔵に心を寄せる女性を二人登場させている。
同郷の五平の許嫁であり、師匠下柘植次郎佐衛門の娘、木さる。個性的な命名もさることながら個性的なキャラクターで魅力たっぷり。あどけないのか、計算高いのか本能にのみ生きているのか・・・。
一方、名門家系のご落胤であり、忍者のヒロイン、小萩。
主人公重蔵と同じ感性を持つ女性で、お互い命のやり取りをすること理解しながらも互いに聞かれていく。美意識や人間観というものも境遇や性差こそ違えど近いものがある。
映画は見ていないが、機会があれが見てもいいかもしれない。
ただ、以前映画評で「この映画を作るにあたって10倍の予算があれば素晴らしいものになったのに残念」と書かれていたものがあった。陳腐な出来なんだろうか?

梟の城 (新潮文庫)

梟の城 (新潮文庫)

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