面白くてついつい読みふけってしまった。
宮部みゆきのSF、刑事物、超能力者を扱った小説である。
ヒロイン青木淳子はパイロキネシスという念力放火能力者でその力を使って、悪に対して法では裁ききれない悪人を処刑する。
ここだけ見れば痛快な超能力ヒロインの誕生というところだが、実際はそうではない。通常の人とは違った能力を持つものの孤独と苦悩が描かれている。
彼女の能力は強大で派手。そして謎の死を遂げた悪人たち。彼らの死はいろんな状況から不思議な点があり、それを追い求めるのが中年女性刑事。放火犯を追う刑事である石津ちか子である。
そして警察では異端児扱いの牧原康明。彼は少年時代に非常にショッキングな事件に出会う。問題児だったとはいえ、幼い弟が焼き殺されたのである。そして焼き殺したのは幼い少女。彼は弟の死をきっかけに刑事になる。
青木淳子の能力を知った謎の組織ガーディアン。法律で裁くことができない悪を闇で処刑する集団である。警察内部にもガーディアンを黙認する動きがある。そしてそのガーディアンが淳子を仲間に引き入れようとするために近づいたのは同じく超能力を持つ木戸浩一。彼の能力は相手の心に入って操ってしまうことである。
同じ能力を持つ者同士として心を許してしまう淳子。しかし木戸の目的は、ガーディアンの目的は彼女を始末することにあった。
青木淳子を追いかける石津ちか子と牧原康明。そして最期に淳子を探し当てた時には木戸に致命傷を与えられていた。そしてその木戸も淳子によっても焼死させられていた。
なんともまあ、面白く、痛快な反面、何とかならないのかという気持ちが強い。エンディングもハッピーエンドはありえないと思える展開で、あまり喜べないエンディングになる。
強い力を持つ主人公。そして同じような能力を持つ人達の孤独を強く感じた。
- 作者: 宮部みゆき
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