悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

華栄の丘 宮城谷昌光

結構読みづらいものである。
全体を通して読むとそうでもないが、言葉の言い回し、登場人物の名前などが古い中国の歴史モノということもあってなかなか読みづらいところがある。

春秋戦国時代の小国宋の名宰相である華元が主人公。
中国の名宰相といえば、内政、外交、軍事いずれにも縦横無尽に活躍するような人物、管中、楽毅諸葛孔明などを思い浮かべるが、この人物はそういった鬼神にも迫るような人物ではない。
争いを好まず、目先の勝敗にはこだわらない。礼を知り、徳を積むことによって大事がなるということを常に考え実践した宰相。

奇策を好まず、軍事的に天才的なひらめきなどは全くないが、礼を重んじ、あえて負けることによって最期は徳を取ることを知っていた人物であろう。
文公との主従関係、また自らの家臣たちとの主従関係を見てもその人間性にお互い深い敬愛のこころがああり、強い絆で結ばれていた。素晴らしいことである。

ともあれ、こういう時代を生き抜いてきた大陸の人々、中国というのははやはり争い事慣れしていると思う。
そして独特の外交センスというものを長年かけて磨き上げてきている。
日本が到底外交で叶うはずがないのはこういう歴史があるからだろう。
島国日本は鎖国によって独自の繁栄を遂げた。
鎖国によって平和な時代を謳歌したのは庶民にとっては幸せなこと。
冷戦期、安保によってアメリカの庇護下で反映した現代日本も同様。
外交という駆け引きに関しては日本の政治家、官僚は紛争なれしている国々の人から見れば素人に等しいということだと痛感する。

華栄の丘

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