昨年あたり、特にiPadが発売される頃から急激に書籍の電子化が話題にのぼるようになってきた。
そしてそれと同じく「自炊」という言葉がネット上でよく見かけるようになる。
ネットを良く見たり、iPhoneなどのスマートフォンを使用する人には当たり前になりつつある「自炊」という言葉。
実際に自炊にチャレンジしている人はまだまだマイナーだとは思うが、これからは一般的になるのだろうか?
TSUTAYAが「自炊」のためのツールをレンタルするサービスを始めたとかきく。
こういうのはニッチであって、大手が手を出す分野じゃないと思うが、TSUTAYAも上場を取り消したことだし、今後は何でも商売のネタにチャレンジしていく覚悟なんだろうな。
TSUTAYAも自炊サービスに参入! | 栗原潔のIT弁理士日記
TSUTAYAが書籍の電子化サービスを実験、店頭で“自炊”が1冊300円 -INTERNET Watch Watch
でもはじめて「自炊」という言葉を聞く人にとっては「何?自炊?」という感じでいまいち掴みきれていない。
まあ、サービスを利用する人には十分そのあたりのことは分かっているはずだけど。
もともとは「自」分のゲームのROMからデータを「吸」い出すことから「自吸」→それを文字って「自炊」となったものらしい。
なんじゃそれ?と私も昨年思ったが、すぐに馴染んでしまった。恐るべしネット社会のスラングの伝達速度。
それにしてもキレイに製本された本をわざわざ高価な裁断機を使って本を解体し、それをスキャナで読み取るというのはある意味どこか壊れた感覚を持ち合わせないと厳しい部分がある。精神的に辛いというのはよく聞く。
現在の出版、製本はほぼデジタル化されていると思う。つまりはもとはデジタルデータ。
そのデジタルデータを印刷というアナログに直し、それをきれいに製本という作業をする。消費者に渡った後は、それを裁断し、デジタルデータにすべくスキャナに読み込ませるというムチャクチャな無駄をしているわけだ。
しかし、デジタルの発展には無駄がつき物。今でこそ、常時接続だの光回線だの言っているけど、チョット前はピーガーのモデムを使っていたと思う。
そのモデムというのが仕組は違うが、理屈は同じ。電話線はもともと音声通信をするためのアナログ。
デジタルデータを流すためにデータをアナログに変調する。アナログに変調されたデータは電話回線上で移動する。
受信先はそのアナログデータをデジタルデータに変調して元のデータに戻すという作業だ。
FAXなんかも同じだろう。読み取る前のデータはもちろんアナログ、読み取ったデータはデジタルである。水平垂直共に200dpiで読み取る。
そして相手の回線でそれを戻す。もちろん200dpiだからもとのアナログデータのような滑らかさはなくガタガタの画像になるわけだ。
だから今さら無駄だのナンだの言うのはナンセンスだとも思うが、やっぱり回線に流れているデータと違って製本されたものをバッサリと裁断するというのは精神衛生上悪いらしい。
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