急激に気温が上がりましたね。
まだ5月なのにエアコンがないと厳しい状況になりつつあります。
今年の夏が怖いですね。
さて、いつものように通勤で読んでいた本です。
結構前に読んだものです。
登場人物
滝川亮
大学4年生だが、学業にも就職活動にも身が入らない人物。
同じ大学の上野翔平と江原和也も似た者同士であり、いつもつるんではくだらないことをしています。
速水
速水総業組長。
無口だが、威圧感のある人物。
武石
速水総業若頭。
かつて人を殺し、刑務所へ入っていたが、最近出所したばかり。
武闘派であり、古いタイプの人間。
目黒
速水総業若頭補佐。
ホスト風で頭がよく、シノギも巧い人間。
尾崎
サラリーマンだったが、リストラされ、速水組の武石に拾ってもらった人間。
松原
速水組の行儀見習いの若い人間。
菜奈
風俗業に面接に来た女性だが、亮とつきあい始める。
あらすじ
大学生の滝川亮は、同じ大学の友達二人とあるバーに行き、マリファナをくすねてきます。
その店の人間が追いかけてくるので、それぞれ分かれて逃走します。
亮はアッシュというバーに逃げ込みます。
そこに追手がやってきて、亮を連れて行こうとしますが、店で飲んでいた速水という極道に逆にやられてしまいます。
亮と速水の出会いでした。
速水はこの土地に根を張る小さな組、速水総業の組長でした。
その後、亮はどうしても速水が気になって仕方がありません。
危険だとは思いつつも、好奇心は抑えられず、彼は速水総業に顔を出し、組員や見習いではなく、単にアルバイトとして少しの間、働くことになります。
役割は行儀見習いの松原にパソコンを教えることでした。
歳が近い二人はすぐに意気投合します。
また恐ろしい武石という速水総業の若頭にも、妙に気に入られ、贅沢な食事や飲み屋に連れて行ってもらうようになります。
感想
福澤徹三さんの本に登場する若者は自分を持て余し、馬鹿な方向へ進んでしまいます。
そういう人物をうまく描写しています。
以前読んだ「灰色の犬」の片桐遼平も本当に落ちていくパターンの典型で、なんという愚かなという風にしか思えませんが、今回の主人公滝川亮も若気の至りというか、大馬鹿者です。
もちろん、主人公の良さも描かれてはいますが、「すじぼり」を入れただけの人間。
要するに中途半端、いわゆる半端モンなんですね。
きっかけは亮の友人。
マリファナを知り、それを手に入れるためにヤバい店でヤバいことをするんですね。
彼らも馬鹿者たちです。
物語の展開がスピーディで面白かったのですが、バッドエンドとはいえないものの、ハッピーエンドとは程遠い結末でした。
時代の流れについていけない速水総業の組長速水と若頭の武石。
ヤクザですが、昔気質であり、たしかに格好いいです。
狂犬と言われている武石なんかも本当に恐ろしい極道そのものなのですが、めちゃくちゃ魅力があるのでしょう。
この二人の生きざまに魅せられる純真な主人公という構図ですが、頭ではマズイとわかっていても、近づきたくなる魅力というものがあるのでしょうか。
麻薬と同じですかね。
ヤクザの世界も。
そしてその世界の厳しさを知り、やめたくなっても簡単にやめられない。
神戸長田のラーメン組長も公開していたでしょうが、組員もいなくなりなんとかラーメン屋でしのいでいたのですが、ヤクザを辞めることもできなかったんですね。
この世界には入りたくなるような魅力にあふれているのかもしれませんが、気がついたときには元に戻れない片道切符なんですね。