原題はUNHINGED。
それが放題ではアオラレ。
あおり運転というのが社会問題として取り上げられる昨今ですが、車社会であるアメリカではその影響というのもすごいものなのでしょう。
アメリカには行ったこともありませんし、交通事情はわかりませんが、規模が大きいだけに渋滞のレベルも違うようですね。
物語は、離婚協議中の女性が寝坊し、息子を学校に送り届ける時に、前の車がすぐにスタートしなかったたために、クラクションを激しく鳴らして追い越していきました。
追い越された車に乗っていたのが主演のラッセル・クロウという映画です。
この映画の概要
監督 デリック・ボルテ
脚本 カール・エルスワース
製作国 アメリカ合集校k
公開 2020年8月 アメリカ
上映時間 93分
制作費 33,000,000ドル
興行収入 37,321,000ドル
Cast
トム・クーパー(ラッセル・クロウ)
仕事をクビになり、妻に逃げられた男。
うちに秘めていた不満が爆発
レイチェル・フリン(カレン・ピストリアス)
離婚協議中の女性で、小学生の息子を持っている。
寝坊したことで息子を学校に連れて行くのに焦る気持ちが~
カイル・フリン ガブリエル・ベイトマン
レイチェルの一人息子。
あおり運転をしてくるトムに声をかけられる。
フレッド オースティン・マッケンジー
レイチェルの弟で同棲相手とともに、レイチェルの家に居候している。
アンディ(ジミ・シンプソン)
レイチェルの離婚協議を担当している弁護士。
あらすじ
男は、土砂降りの中、バールを持ってある家に襲いかかります。
音によって起きてきた男性は、その男の持つバールで打ちのめされます。
そして家に火をつけられてしまいます。
この事件はたちまち全米の話題になりました。
そんなニュースを見ていたのはカイルという子供。
母が寝坊し、学校には遅れてしまいそう。
母親のレイチェルは、慌てて車を出します。
彼女は夫と離婚協議中であり、弁護士のアンディから、家の権利について揉めそうな気配。
さらに、美容師として大切な顧客であったデボラから、クビを宣告されてしまい、踏んだり蹴ったりの状態でした。
そんなときに前を走っている車が信号が青になっても止まったまま。
苛立つレイチェルは、クラクションを激しく鳴らした後、追い抜いていくのでした。
追い抜かれた男は、表情も虚ろですが、怒りをうちに秘めているようです。
レイチェルの車に横付けして、文句を言います。
クラクションの鳴らし方に抗議しているのです。
彼は、レイチェルにその態度を詫びるように告げるのですが、レイチェルは謝る気はさらさらありません。
しかし、そのことで男の不満に火がついたのか、レイチェルを執拗に追いかけてきます。
レイチェルは子供を学校に送り届けた後、弁護士のアンディとの待ち合わせがありました。
感想
自分の人生を捨ててしまい、ひとを殺めてしまった人間が暴走する話です。
邦題は「アオラレ」というあおり運転を連想させるタイトルですが、あおり運転そのものというよりも、不満のはけ口がなく、「無敵の人」となった人間の怖さを描く映画となっています。
あおり運転の怖さという点では、この映画よりもスピルバーグ監督の才能が認められるきっかけとなったテレビ映画「激突」のほうがピッタリ来ると思います。
「激突」ではトレーラーがあおり運転をするという、別の意味の怖さがありましたが、運転手は全くわからないまま映画が終わります。
この映画でははじめに人殺しのシーンから始まります。
全く情報がないままに見たのですが、その時の人間がラッセル・クロウに似ているなあ、と思っていたのですが、あまりにも違いすぎるのです。
ラッセル・クロウといえば、「グラディエーター」のスペイン人であったり、イケメンの早打ちガンマン「クイック&デッド」のイメージが強いです。
シャープな印象があるのですが、この映画のラッセル・クロウはものすごいお腹、アンコ型の体型です。
エグゼクティブではないアメリカ人の標準体型?と言ってしまえば、アメリカ人に怒られそうですが、健康に留意していないファストフードばかりを食べている人というイメージでしょうか。
どちらにしてもこの体型はすごかったです。
ある意味役柄に合わせたと言えそうですが、一節によると中に肥満体型になるスーツを着込んでいたとか。
巨体の割に動きが速く、知恵も回る男だけに恐怖は倍増します。
しかし一番の怖さは、彼はすでに人生を捨ててしまっていることです。
つまり最近流行りの言葉でいうと「無敵の人」です。
自分の命、人生というものを捨ててしまっている人間ほどたちの悪いものはありません。
対する母子家庭の母のレイチェルは細くて力もありそうにないです。
ただ、子供のためにこれから一人で立ち向かっていく必要があるのです。
負けていられません。
そういう女性の強さは垣間見えるのですが、圧倒的な男の恐怖の前にされるがままになってしまいます。
不幸なのは彼女に関わりのある人達。
弁護士のアンディに弟のフレッド、及びその彼女。
トムは、レイチェルのスマホを奪っています。
次の標的は誰にするのか、レイチェルに選ばせようとするのです。
仕方なく選んだのが、彼女をクビにした顧客の名前だったのは何ともいえないところです。