悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

泣くな研修医 中山祐次郎

今日はお休みでしたが、あいにくの雨。

インフルエンザワクチンを接種してきました。
少しの安心料ということで。

 

 

 

 

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研修医の実態を描いた小説。
なんとも過酷な研修医の生々しい姿を描いた小説です。

登場人物

雨野隆治 研修医1年目

佐藤玲 後期研修医 雨野の先輩研修医

岩井医師 大柄で迫力のある指導医

須郷部長 この病院の幹部

川村研修医 雨野と同じ研修医だが~

吉川看護師 優しく気遣いのできる看護師

山下拓磨 交通事故で運び込まれた5歳児

イシイ 雨野と同じ歳のステージ4がん患者

 

この本の目次

Part1 交通事故

Part2 生活保護

Part3 虫垂炎

Part4 イシイ

Part5 都会

Part6 おなら

エピローグ

 

あらすじ

鹿児島の田舎で「薩摩揚げ』の店を営む両親。
1階がお店で2階が住居です。
雨野隆治はこの実家で生まれた次男坊なのですが、兄の裕一の異変を両親に伝えますが、両親は忙しく、兄弟喧嘩でもしたのかと思っていました。
しかし、隆治が再び兄の異変を伝え、母親が2階へ上がっていきます。
その後、裕一の状況が大変だったことを知る父と母。
救急車で兄は運ばれていきます。

 

時は流れて

雨野隆治は25歳になっていました。
医学部での勉強を終え、1年目の研修医として病院に勤務します。
この東京都にある大病院では1年目の研修医は勤務4-5年になるベテランの研修医とペアで宿直をする決まりとなっていました。

隆治の先輩は佐藤玲という美人の後期研修医。
一緒に当直でテレビを見ながらご飯を食べています。
テレビでは高速道路での交通事故のニュースが映っていましたが、その数分後、佐藤の院内PHSが鳴り、彼らがこの救急にやって来ることになります。
その日は、指導医でもある怖い岩井医師がいます。

運び込まれた患者は5歳男児
激しい外傷により内蔵が見えているような状況でした。
緊急手術が必要な状況です。
岩井が「執刀医」、「第一助手」の佐藤とともに雨野も「第2助手」として手術に立ち会います。
緊急手術は施しましたが、極度の緊張からか、隆治は倒れてしまいます。

隆治は1年目の研修医とはいえ、医者です。
患者の父親から息子の状況の説明を求められるのです。
雨野は自分の無力さに思い知らされながらも、幼い患者のためにしてあげられることはないかと悩みます。

94歳になる胃がんの末期患者がやってきました。
家族もいない独居老人で認知症もあり、生活保護を受けています。
そして94歳という高齢の末期がん患者。

医師たちの判断はBSC、つまり手術はしない方針。
それに対して隆治にはモヤモヤした感情が残ります。


 

感想

手術シーンは、映像こそないものの描写が具体的で、かなり生々しい表現でした。
ホラー映画などの流血シーンなどではそれほどの恐怖を感じないのですが、医療となると全然違った感覚になります。
娯楽作品のホラー映画と一緒にするとは不謹慎と怒られそうな気もするのですが、幼い子供を扱った緊急手術というのはすごく怖いシーンなのです。

医者という職業がどれほど大変なのかと言うのは、耳にはしますが、経験がない人間にはわからない所だらけなのです。
非常に難しい試験を受けて、大学医学部に合格し、6年間もその大学で勉学に励み、医師免許を取得するわけですから、本当に大変なのだろうと思います。
研修医として大病院に勤務する勤務医は宿直などもあり、慢性的に寝不足で過労であるということもよく耳にします。

人の命を預かる医療という仕事は尊い仕事でやりがいもあるのでしょう。
しかし、その労力に見合う対価がなければ、魅力ある仕事もそう見えなくなってしまいますよね。


医療系の小説といえば、「チーム・バチスタの栄光」で一躍有名になった海堂尊さんや「閉鎖病棟」の帚木蓬生さんが思い浮かびます。

あまり意識していませんでしたが、すでに一つのジャンルとして確立されていますね。
小説を通じて知る医療の実態もありますが、現場で従事している医療関係者からすれば、こんなものではない!と言う意見もあると思います。

この小説もTVドラマ化され、その時のキャッチフレーズが炎上したとか。
「学生以上、医師未満」
この本にも書かれていますが、研修医とはいえ、同じ医師免許を持った人に対して「医師未満」というのはあまりに失礼でしょう。
経験が少なくても免許を持ったプロですからね。

 

 
 
 

 

 
通勤の合間に読んでいましたが、面白かったので、続編へ。

続きの2作目も読んでいますので、またの機会にご紹介をしますね。

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