悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

手紙屋 喜多川泰

今週のお題「読書の秋」 

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読書の秋ですね。

とはいえ、秋だから本を買って読むとか、新しいジャンルに手を出す、といったことはありません。

いつもどおり気が向いたら読んで、読んでみて、進まなくなって放置、って言うのもあります。

本当の読書を愛する人から見れば、怒られそうですね。


さて、今回読んだ本は、小説ですが、自己啓発系の本です。

サブタイトルが、「~ボクの就職活動を変えた10通の手紙~」となっています。

大学生、就職を間近に控えた人が読むにはちょうどよい本なのかもしれませんが、仕事に意味を見いだせなくなった、くたびれたおじさん、おばさんも読んでみると良いかもしれません。

「賢者の書」や「運転者」のようにファンタジーではありませんが、「手紙屋」と呼ばれる人との10通の手紙のやり取りを通して、人間的に成長しつつ、働く意味を考える小説ですね。


帯の部分には、働くことの意味を見つめ直す本と書かれています。

まさにそのとおりだと思います。

 

 

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この本の目次

第一期 目的なき船出 大人になろうとする勇気を持てずに現実に目をつぶり、笑っていられた日々

1通目の手紙『物々交換』

2通目の手紙『あなたの称号』

3通目の手紙『天は自ら助くる者を助く』


第二期 挫折、そして成長 自分の人生と真剣に向かい合い始めたときに変化は起こる

4通目の手紙『思いどおりの人生を送る』

5通目の手紙『ある人の人生』

6通目の手紙『自分に向いていることを探さない』


第三期 もっと高いところへ すべての人はきっかけ一つで成功者の道を歩み始めることができる

7通目の手紙『急がば回れ

8通目の手紙『あなたの成功は世界を変える』

9通目の手紙『自分を磨き、行動する』


第四期 人生の始まり 意思を強く持った旅人は旅立ちと共に目的地にたどり着いたも同然だ

10通目の手紙『人生の始まり』


エピローグ 7年後


あとがき

 

登場人物

西山諒太
主人公。大学4年で就職活動を始める人物。
就職活動の波に完全に乗り遅れたことを気にしている。


西山寛人
一回り以上歳の離れた兄。
ある事情があり、あまり触れ合わないのです。
大学を出て東京で就職していたのですが、諒太が小学校6年のときに実家に戻ってきましたが、その理由ははっきりしません。
実家の家業を継ぐわけでもなく、一人で暮らしています。


千晴
一回り年上の姉。
小学生の頃に上京して看護師になったため、一緒に暮らした記憶があまりありません。
すでに結婚もしています。

 

喜太郎

姉千晴の伴侶。
あまり話をしたことがないが、大学受験のときに姉の家に世話になり、よく話をするようになった義理の兄。
実兄とあまり馴染まない諒太にとっては初めて兄を持ったような気がしたのです。
なんと手紙屋は過去に利用したことがあるらしく、諒太はますます義理の兄との話をするのが楽しくなっています。


内田和花
書楽と言う変わった店のアルバイト店員。
諒太とは同じ大学で同じ学年なのですが、これまでの3年間でほとんど出会うことはありませんでした。



書楽のオーナー。
この店を経営しながら、サーフィンが趣味な自由人。
諒太の憧れの人のひとりです。


手紙屋
この物語のもうひとりの主人公
手紙屋と言う非常に変わった仕事をしている謎の人物。
諒太との手紙のやり取りを約束します。
手紙は10通のみの限定的なお付き合いなのです。


 

 


あらすじ

就職の波に完全の乗り遅れたと思っている西山諒太。
彼は歳の離れた兄と姉がいる末っ子。
しかし兄も姉も離れて暮らしているため、実際には一人っ子のような状況です。

書楽というなんとも変わった空間提供をするお店のオーナー、森さんに対して淡いあこがれのある諒太です。
就職活動について森さんに相談しようと書楽にいったのですが、サーフィンに出かけていて会えませんでした。

諒太がこっそりと「玉座」と読んでいる特別な部屋が、誕生日の優待として利用できる事になりました。
諒太は早速その部屋で本を読もうと思っていると、そこには「手紙屋」という不思議な広告がありました。

諒太は「就職活動」について「手紙屋」とやり取りを開始します。

手紙屋とのやり取りを通じて諒太は様々なことを学びます。
そして自分が一体何がやりたいのか、ということがおぼろげながら見えてくるのです。


大きな会社の面接での手応え、しかし実際には不採用でした。

その後もいくつかの企業との面接をしながら、とても気になる会社がありました。
まだ会社と呼ぶにはあまりにも規模が小さな会社で、社長自らが面接に応じているのです。

諒太は手紙屋を通じて、自身の考え方を磨いていきます。

そして就職するのも、自分が将来やりたいことも考えていくようになるのです。

 

この本の感想

良い内容でした。
私もこの年令になったので、ここに書かれていることに一つ一つ感じるところがあります。

若いときに読んでいたら良い本ですが、若い頃の自分がどこまでこの本を真剣に読むのか?というのもあります。
多分まともに読まなかっただろうと思うのですね。

小説としてもちゃんと、最後にオチが用意されていますし、大団円なのです。
気持ちの良い終わり方になっています。

しょせんフィクション、小説だと思ってしまうのか、それともこの本の内容を参考にしていくことができるのかですね。

諒太はどこにでもいる普通の大学生でしたが、この10通の手紙のやり取りを通して、開眼したのです。
主人公の諒太は手紙屋とのやり取りを通じて成長し、行動する人間となっていくのです。

彼は就職が決まってからも、安心して遊ぶということもなく、自分自身をさらに磨いていくことを決心します。
なかなかできることではありません。
人間って、誰しもが楽をしたいですからね。


物語部分をどう捉えるかはあなた次第、でもこの内容は就職活動をする若い人たちだけでなく、すでにいくつも経験を重ねた人にとっても、もう一度思い返す意味のある内容です。

逆に言うと、私は読んでいて、かなり苦しいと思った点もあります。
それは若い人に向けられたこの本の内容が、この年齢になってしまった自分には、あまりできていないことを痛切に知らされたからでもあります。



でもね、還暦前の自分もまだ死んだわけでわはない。
これからも生きていくんだと言う気持ちがあれば、素直に読めるはずです。

 

手紙屋が書いている言葉で残すべきだと感じたところにはマーカーを引いてありますので、紹介しましょう。


「物々交換」
相手の持っているものの中で自分が欲しいものと、
自分が持っているものの中で相手が欲しがるものとを、
お互いが丁度いいと思う量で交換している。

あなたには、もともっと他の人が欲しがる魅力がたくさんある。
それを見つけて、磨いて、出し惜しみしないで
どんどん周囲の人に提供してみよう。
きっと思ってもみない、様々なものが手に入るはず。


諒太の義理の兄の喜太郎さんもとても強い人です。
姉と結婚したときから車椅子の生活ですが、明るく話し好きで、諒太にとってはとても頼りがいのある兄なんですね。
「倒れなかったものが強いんじゃなくて、倒れても立ち上がるものが本当に強いんだよ」
まさしくそうですね。
日々凹むことばかりですが、前を見て進んでいくのはこの能力です。
いくら強くても一度折れてしまったらもとに戻れない人もいます。


天秤のたとえ話で、
人々は片方の皿の上に載せる努力が足りずに欲しい物が手に入らなかったことを「人生は思いどおりに行かない」というのです。
私の考える「本当のピンチ」の基準はここです。
自分が手に入れたいものに対して、反対のさらに載せているものが違っていたり、足りていなかったりするにもかかわらず、それが手に入ってしまうことが、人生の中では何度かある。それこそが「本当のピンチ」なんです。


法人の話で、生存するために必要な2つのこと
「多くの人から長期間にわたって必要とされ続けること」
そして
「収入内の生活をすること」

素晴らしい人生を送るために必要なこと。
それは
「今、目の前にあるものに全力を注いで生きる」こと。


人生という大海原に漕ぎ出すときに、
その船が誰のものであるか、
自分が船長か船員か、
船は大きいか小さいかなんて、

実はどうでもいいい。
大事なのは、
その船が何を目的として航海をするか、だ。

 

人生の目標を持ったときから、
あなたの人生が始まる。
目標をしっかりと持てば、
”今日を生きる”という確固たる生き方ができる。

 

仕事、働くことに関して
大人にとっては、そのときしんどいという肉体的苦痛よりも、将来どうなるかわからないという精神的苦痛のほうが耐えられないものだからでしょう。その日一日を必死で働けば肉体的には疲労しますが、精神的にはやれることはやったという充実感を得られます。そういう毎日を送るほうが、実は楽なのでしょう。

 

自分を磨き続けるためには習慣化する
誰かの考えが記されているものを読み、それに対する自分の意見を書く、と言う作業を習慣化することです。

 

本を読んだら自分の意見を書いてまとめるということをしなければなりません。それは図でもいいし、文章でもいいでしょう。とにかく、そこから得られたものを自分なりにまとめるという作業が大切なのです。

 

常に動き続けること。
慣性の法則
「止まっているものは、止まり続けようとする。
動いているものは、動き続けようとする」

 

夢を叶えることができなかった人
→「私には才能がなかった」

夢を叶えることができた人
→「どうしてもやりたいことを、情熱を持って続けてきただけです。」

 

才能とは予めあるものではなく、自らの努力で開花させるもの。
才能を開花させるものは、開花させようとする「情熱」

 

『失敗した人は才能を理由に挙げる。成功した人は情熱を理由に挙げる』

 

 

 

 

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