悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

四つの署名 アーサー・コナン・ドイル

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シャーロック・ホームズ・シリーズ第2弾の作品です。

「緋色の研究」で一旦作家をやめようとしていたらしいのですが、アメリカの雑誌での執筆依頼があり、2年後に書いたのがこの作品らしいですね。

「緋色の研究」と同じく、前半は事実関係のお話。
後半は犯人の口から語られるこの事件の真相です。

探偵はもちろんシャーロック・ホームズですが、今回のお間抜けな役回りはアルセニー・ジョーンズです。

 

 

tails-of-devil.hatenablog.com

 

登場人物

シャーロック・ホームズ

ジョン・ワトスン

メアリー・モースタン

ショルトー少佐

モースタン大尉

サディアス・ショルトー

バーソロミュー・ソルトー

ジョナサン・スモール

アルセニー・ジョーンズ

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あらすじ

質素に暮らすメアリー・モースタン嬢がホームズのところへやってきて相談します。
彼女の父親は軍人でしたが、失踪したまま帰って来なくなって10年になります。
メアリーは父の生存はもはや諦めていましたが、最近高価な真珠が贈り物として謎の人物から送られてくるようになったというのです。
そしてついに招待状まで一緒に送られてきたのでした。

メアリーを連れてホームズとワトスンは招待状にあるところへ向かいました。
サディアス・ショルトーという人物で、彼の父親であるショルトー少佐はメアリーの父であるモースタン大尉とは古くからの知り合いで、ショルトー少佐曰く、モースタン大尉は口論中に心臓発作によってなくなったということです。
そしてそのショルトー少佐もその後亡くなり、彼の持つ財産、「アグラの財宝」はサディアスの双子の兄であるバーソロミューに譲られることになりました。
本来は彼のもとにあるアグラの財宝は父ショルトー少佐だけのものではなく、モースタン大佐と分けるべきものなのです。
欲深い父であるショルトー少佐は、その財宝を隠し、目立たぬように生きていました。ショルトー少佐の息子であるバーソロミューとサディアスでしたが、父の信頼が厚いのは兄のバーソロミュー。
弟のサディアスはモースタン大尉の娘にも財宝を分け与えるべきだ考えています。
アグラの財宝、その価値は50万ポンドをくだらないと言われます。

サディアスはホームズ一行を連れてバーソロミュー兄のところへ向かいました。
用心深い兄を説得するためです。
しかし、兄のバーソロミューは何者かによって殺されたあとでした。
そしてバーソロミュー兄のもとには四つの署名があるのでした。
それは、ジョナサン・スモール、マホメット・シング、アブドゥーラ・カーン、ドスト・アクバルの4名でした。

状況よりホームズはバーソロミュー兄を殺した犯人が片足が義足であること、そしてクレオソートに足を突っ込んだため、その匂いを追うことで追跡できると判断します。
トビーという大変優秀な犬を使って追跡をします。
しかしテムズ川でぷっつりとその後を追うことができなくなるのでした。
船に乗って逃走を図る犯人の船を見つけたホームズは警察とともにテムズ川での大追跡を行い、ついに義足の男、ジョナサン・スモールを捕縛します。

 

捕まったジョナサン・スモールはこの事件の全貌を語ります。
ジョナサン・スモールはかつてインドで兵士をしていました。
そこにインド人3人に持ちかけられた話が「アグラの財宝」を奪うことでした。
当時の大英帝国の植民地であるインドでは反乱が起き、イギリス軍も大変な状況にある時代でした。
財宝を奪い、隠した彼らでしたが犯行が見つかり、終身刑となります。
ジョナサン・スモールはショルトー少佐とモースタン大尉には借金で困っていることを知っています。
彼らに「アグラの財宝」のことを打ち明け、財宝を分け与える代わりに、自分の脱走を手伝ってくれるように依頼します。
しかしショルトー少佐はジョナサン・スモールを裏切り、一人で財宝を持って本国のイギリスへ帰国するのでした。
ジョナサン・スモールには現地に彼の言うことをよく聞いてくれるトンガという土人がいました。
彼によってジョナサンは脱出を果たし、ショルトーへの復讐を果たそうとします。
しかしジョナサンがショルトーをやっとのことで追い詰めたときには彼はこの世の人ではなく、財宝を持つのは彼の息子でした。
先走ったトンガがショルトーの息子のバーソロミューを毒矢で殺害したのが今回の事件ということになります。

 

感想

最初からかなりぶっ飛んだ人物であるホームズです。
いきなりコカインでキメるとか、危ない小説にしか感じません。
医者である親友のワトスンが諌めるのですが、ホームズには果たして彼の言葉が届いているのかどうか、本当に不思議な人物です。
ものすごいうねりの激しい人なのでしょう。
集中しているときは全く眠らず、フル回転で大脳を使うのでしょう。
その反面、やることが亡くなったときは、廃人のように全く何もしない。
本当に付き合いづらい人物だと思うのですが、ワトスンにとっては魅力的な人物だったのでしょう。

さてこの物語の依頼人であるメアリー・モースタンは大変美しい女性で、ひと目でワトスンのハートを鷲掴みにします。
そしてアグラの財宝の価値を知り、手の届くところにいた彼女が一気に自分の手から離れていくことをとても残念に思うのです。
結局、アグラの財宝は失われて、メアリー嬢は大富豪に離れませんでしたが、おかげでワトスンは彼女と結婚することができました。
変人ホームズと比べて凡人ワトスンは恋愛も普通にできるわけです。
ワトスンは軍医だったのでもちろん優れた頭脳の持ち主だと思いますが、カミソリのように切れすぎるホームズと比べてと言う意味ですね。

この物語も前作の「緋色の研究」と同じく2部構成ですね。
第1部では事実関係と犯人逮捕。
そして第2部では犯人によるその真相を明かすと言うスタイルですね。

まだ2作品しか読んでいませんが、あちらこちらで描かれるホームズのオリジナルはこういう人物だったのですね。
本当に不思議な人物です。


 

 

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