悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

新人研修から見る人間観察

 

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少し前の記事を見つけて、「ああ、そんな事もあったっけ」と思いながら、懐かしんでいる。

 

tails-of-devil.hatenablog.com

 



今でこそ、研修はあまり担当しなくなったが、今の職場、前の職場、その前の職場でも研修はよく行った。

本当に私が今いる業界というものはどうかしているような気がする。
どこでもそういうものなのかもしれないが。

顧客対応、相談室などと呼ばれる仕事である。
いわゆるインバウンドのコールセンターだね。
そもそも顧客対応なんてものは、今の会社に入っていからの経験である。
しかも対面での仕事はサポートカウンターという場所でやってみたが、電話対応なんてやったことがない。
もちろん、家業で仕事をしていたときに電話がなって応対することはあるが、いわゆるコールセンターとはぜんぜん違う。
そんな中で、まともにコールセンターの業務も指定ない人間が、いきなりSVという職務を与えられて、新人研修をすることになったのだから、異常な業界である。
今はなき某電機メーカー。
その職場に入って、研修そのものは1週間程度。
顧客対応という実務は2週間ほどしか経験していない。
私が入って1ヶ月後に新人さんが入ってきて、私が研修を担当することになったのである。
いや、なにこれ?
私と同時期に入った人間は10名ほど。
他のメンバーは実務で対応しつつ仕事を覚えていったのだが、私は新人の研修を行っているのである。
いや~無いわ~この業界。
で、私の同期もポロポロと辞めていくのだが、私が研修した新人たちも続くもの、辞めるものがいる。
1年経過して残っている人のほうが少ない。
ひどい場合は、その時の同期が全滅とか・・・。
新人から研修して実務で練度が上がった人というのが少ない職場である。

いや、正確に言うなら、この業界の水になれすぎている人が多いのかもしれない。
私も今は随分とこの業界の人間になってしまった気がする。
しかし、あいかわらず研修らしい研修を受けて、実力、スキルアップしたという実感はないのだが・・・

そう思っていてもすでにこんな年齢になってしまった。
サラリーマンとしての賞味期限はとっくに過ぎていることを自覚しつつ、自分で自分を鼓舞し続けながら働いている。
別に職場の仕事が嫌いというわけではない。
むしろ残りのサラリーマン人生を楽しむ余裕すらあるのかもしれない。

ものすごく長い前置きとなってしまったが、新人を見ていると様々な人達がいる。
電話対応するので、口が達者なやつばかりだと思うが、実はそういう人ばかりでもない。
もちろん、別の所のコールセンターで働いていた人たちは、トークは一通りの基礎が身についているので、心配がないが、その場所ごとのローカルルールというものがあって、それは下手に業界の水を飲んできた人はなじまなかったりする。
概して、若くて未経験な人ほど良いのだが、若くてもひどい人材もたくさん見てきた。
言葉遣いは数をこなして慣らして行くしか無いが、仕事に対する姿勢がひどい。
確かに待遇も悪いのだろう。
賃金も低いのでやる気が失せるというところだろうか。
それならもっと貰える業界に行けばいいのに、炎天下で働くのが嫌だったり、拘束時間が長いのが嫌だったり、するのである。

ある意味私くらいの年齢になってしまうと、職を選り好みすることすらできないので、悩まずに真面目に働ける。

家業を廃業してからは特に、とりあえず稼がないと子供もまだ幼かったしね。

またしても無駄話になってしまったが、この業界には研修泥棒のような連中が一定数の割合でいる。
人間の入れ替わりの激しい業界なので、いつも求人をしているということもあり、研修で居心地が良ければ、しばらく仕事をして、辛いことがあれば辞めてしまうというパターンを繰り返している人である。
そんな「ベテラン」なら研修中に、この職場が合うか合わないかがすぐに分かりそうなものなのだが、研修期間はとりあえず、すまし顔で研修を受けて、研修終了後、実務に入るときに、あるいは実務に入ってすぐに「向いていないので辞めたい」というのである。
研修で新人を見てきて、育てようと教えてきた人間としては本当に虚しいばかりである。
もう一つこの仕事で感じたことが、大手メーカーの人間は基本顧客対応はしないということ。
ギャーギャーうるさい「クレーマー」と呼ばれる人たちは一定数存在する。
そういうクレーマーを受けてしまうと正直気が滅入る。
お詫びしようが、話を聞こうが、埒が明かない。
お客様の要望を聞き入れれば、クライアント先であるそのメーカーから怒られてしまう。
かと言ってお客様に「できない」と突っぱねると、余計に怒り出して、「怒らせた」ということに対する責任問題になったりするのである。
新人研修の傍ら、新人が怒らせた顧客の2次対応というのも仕事に一つで、それはなかなかに気が重い作業。
2次対応に対しても人それぞれで、自分がその顧客から逃れたとあっけらかんと喜ぶ人と責任を感じてしおらしくわびてくる人がいる。
もちろん苦労して対応するわけなので、形だけでも「すみません」と言ってほしいものだ。

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コールセンターなどに入ってくる人は、自ら来ることもあるが、大抵は登録している派遣会社などからの紹介によるものが多い。
派遣会社も商売なので、こちらの条件に合うような人材を探して放り込むわけだが、全くだめな人もいる。
なんというか、あの仕事も大変だろうとは思う。
人間の労働力というものを商品として、販売しているのである。
商品に問題があれば、返品や交換を求めるが、派遣された人間が、条件に合わなくても、一旦採用したら、採用したこちらにも責任があるので、返品交換はできないのが普通だ。
それでもあまりにもひどい人間は、お帰りいただく他無い。
せっかく採用したから、研修してあげてと言われても、辞めることが分かっている人間に対する研修ほど虚しいものはないのである。
いらない人間の条件としては
①圧倒的なスキル不足
②人間関係が難しそうな人
③勤務態度が悪い人
のいずれかだが、社会人がこんなのでいいの?と思える人もいるんだな、これが。
①圧倒的なスキル不足で切られた人というのはあまりいない。
大抵は自分から辞めていく。
無理ですと・・・。
②人間関係が難しそうな人というのは、いかつい人、気難しい人、職場で変な恋愛関係を持ち込む人などである。
本人の能力が高い場合は、許されてしまうこともあるが、職場の他の人間に対する影響が大きいので、お引取り願いたいところである。
③これは割と切りやすいかもしれない。この業界はシフトでまわしているので、シフトに穴をあける人は迷惑この上ない。家庭の事情もあったりするので、欠勤全てがダメということではないが、真面目にやっている人が一部のよく休む人を見て、馬鹿らしくなってくるのである。
ちなみに時給である場合が多いので、休みすぎると生活ができなくなるパターンが多い。
まあ、このタイプも辞めてしまう人が多い。

この3タイプのハイブリッドタイプもいる。
どんなタイプであっても辞めてもらうときにはひと悶着あったりするのである。
マネージャーなどは本当にその点については苦労している。
訴えてやる!なんて捨て台詞を残して去っていったやつもいたなあ。

 

で、こんな環境の職場だが、私は別に苦にならなかった。
家業のほうが危険で肉体労働だったし。
まあ、実入りは大きかったけれど。

某メーカーの後、一時的に内勤となった。
馴染めなかったというか、居場所がなかった。

その後、通信会社のコールセンターに支援として入って仕事をしたが、そちらもあまり居心地はよくなかったという印象だ。
仕事は楽ちんなのだが、何をやっているのか自分でわかってなかったように思う。
うちの会社も同じように受けた仕事に対して人間何人放り込んで、いくらもらうということなので、やっていることは派遣会社とそう変わらない。
送り込まれる人間は現場に行って自分で学べということらしい。
素晴らしい企業文化だ。


それから今の職場に移転して、兵士として前線で戦ってきた。
今までコールセンターなどであまりお客様対応をまともにしていなかったのである意味新鮮だった。
これはなかなかに消耗するけれど、自分のためにはなった。
その後はやはり新人のフォローやら、面倒くさい顧客の相手やらをしている状況だ。

 

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