朝、起きたら、いつもと様子が違っていた。
どうしたんだろう?
私はパジャマのまま洗面台へ向かった。
そこに映っていた自分の顔は、明らかに若返っていた。
え?
56歳にもなる私が、まるで青年のように見えた。
髪の毛もふさふさだ。
パジャマを脱ぎ、もっと驚いた。
学生時代のようにスマートで、でっぷりとしていた腹はすっかり凹んでおり、薄っすらと腹筋が浮き出ている。
あれ?おかしい。
女房をおこしに行こうと寝室へ戻る。
いつものように女房は寝ていた。
女房の美しい顔立ちはいつものままだ。
あれ?
女房は若くない。
私がこんなに若返っているのに。
夢だったのか?
女房が起きてきて、キョトンとしている私を見て、
「どうしたん?なにかあったん?」と聞く。
特に私の顔や姿を見て、びっくりすることもなく。
あれ~?
自分の顔を触る。
いつもどおりの感触だ。
頭に手を伸ばす。
やっぱりデコが広くてそのあたりには毛が生えていない。
パジャマのズボンを見るといつものようにたるんだ腹がそこにあった。
あれ?どうしたんだ?
昨夜家族で、「ハリー・ポッターと賢者の石」を見たからだろうか?
我が家の洗面台の鏡はいつのまにか「みぞの鏡」となっていた。
この話はフィクションです。(あたりまえか)
ただ、夢に見たのは事実。
その世界の私は散髪屋でパーマをしてもらっていた。
そして気持ちよくて眠ってしまって、起こされた時に鏡を見て、髪がふさふさとあった。
という夢だった。
自分の頭をネタに笑いに昇華できなければ、おもろいオッサンにはなれない!と強く思っていたのだが、心の奥底、潜在意識にはまだ格好良く有りたい、モテたいという俗物ならではの性根が潜んでいたんだろう。
女房に笑われましたよ。
我ながら恥ずかしい。(なら言うなってか)
女房は結婚当時よりも老けた。けれど相変わらずキレイです。