悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

ブラック・スネーク・モーン

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サミュエル・L・ジャクソン主演の映画。
冒頭のシーンは「ブルースったあ、愛さえあれば簡単だ」みたいな始まりで、黒人?愛?音楽?どんな映画だろうと思いながら見ていた。旧い白黒フィルムでブルースを語る黒人の映像が流れたあとは、激しいセックスのシーン。とんでもないあばずれ女が登場する「なんだこれ?」と思ってみていた。
主人公のサミュエル・L・ジャクソンが登場する。女房を弟に寝取られた年老いた農夫役である。いつもの暴力的な配役が多いイメージがあるが、今回は強面ではあるものの全く違った人物である。まあ、この俳優は役柄を選ばない影技力があるのだろう。この作品で演じる役柄もまさに見事としか言いようがない。若い頃はブルースを酒場で歌っていたらしい。映画の中でも弾き語りのシーンが度々登場するが、メチャクチャ格好いい。ギターも歌も吹き替えだと思っていたが本人が実演しているらしい。才能がある人って恐ろしいほどである。
もうひとりの主人公がレイと言うあばずれ女役のクリスティーナ・リッチ。「あばずれ」には理由があった。病気である。セックス依存症。そうなってしまった原因も映画の終盤で分かってくる。
ストーリーはかつてブルースを歌っていた貧しい農夫であるラズ(サミュエル)は妻を愛し、大切にしていたが、退屈な生活に愛想を尽かした妻が彼の弟とできてしまい、別れてしまう。怒りのやりどころのないラズ。親友の新婦になだめられる。
街の男と奔放なセックスを繰り返す若い白人女性のレイだが、ロニーという恋人がいた。彼といる間は問題ないが、いなくなるとセックス依存症の彼女はどうしようもなくなる。街の男たちからは弄ばれ、車の中で殴られて気絶したところ、道に放置されてしまう。
朝、倒れていた女性を見つけたラズは介抱するが、彼女がどうしようもないセックス依存症であることがわかり、これは神が自分に課した試練だと考え、彼女の構成に力を尽くす。そのために彼女を鎖でくくりつけてどこにも行けなくしていた。この映画のジャケットがその様であるが、これだけ見ればサミュエルが暴力的な人間にしか見えない。全く違うのである。彼は彼女の怪我の手当をし、病気を直し、そしてセックス依存症を更生しようというのである。
クリスティーナ・リッチという女優は知らないと思っていたが、調べてみるとあの「アダムス・ファミリー」の女の子役であった。随分前の映画であったことを痛感する。ともあれ、この作品は名優サミュエルに全く引けを取らない存在感であり、この主人公二人の演技を見る映画と言える。
このような人間ドラマが嫌いでなければ見て損はない。

何よりもところどころに聞かせてくれるブルースがものすごく良い。

 

 

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