悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

生涯投資家 村上世彰

Amazonプライムリーディングで読んだ。
阪神球団を買収しようとした悪役、拝金主義者というイメージしかなかった著者。
著者自身もそのあたりの自覚がすごくあるようで、この本の中でも度々そういった点に触れている。
読んでみてよかった。ホリエモン率いるライブドアが旧態の日本のジョーシキに風穴を開けようとした時期、モノを言う株主ということで経済界に大きな波紋を投げかけたのが著者が率いる「村上ファンド」である。
ホリエモンのことも好きではないが、TVでよく見かけ、雑誌や本、対談集などにも登場するため、ある意味わかりやすい。
一方村上氏は灘高から東大、通産省というエリートということはわかっていたが、どうも投資、株式で大儲けするということが庶民にとっては分かりづらく、胡散臭いというイメージだけであった。
この本に書いていることが全てとは思わないが、嘘ではない。そしてこの本で訴えかけたかった最大のことは「コーポレート・ガバナンス」である。その内容はまさに正論であり、彼が戦ってきた「旧い」会社に対しては強いいらだちを覚える。
上場というのは株式による資金調達ができる、つまり誰でも株を買うことができることであり、その保有が多ければ経営に対して大きな発言権を持つ。当たり前のことなのだが、日本における株式というのはそうでもないようである。
何よりも残念でならないのはこういった本当に経済に強い人物が悪者として祭り上げられ、箸にも棒にもかからない=無能な人物が上にいること。逮捕されることになったインサイダー取引も今更になって調べてみると、なぜ?という疑問ばかりが出る。そして司法の有罪を下した判断はともかく、「徹底した利益至上主義には慄然とせざるを得ない」という発言。この発言自体が馬鹿じゃないのと思ってしまう。某首相の「人質の命は地球より重い」というわけのわからない人道主義と同様で、こんな発言をする人間こそ無能であり、甚だ疑わしと思ってしまう。他人の金を預かって利益を出すことが仕事のファンドマネージャーなら儲けることは当たり前のことである。もちろんインサイダーはあってはならないことだが、その点も甚だ怪しい。本人も納得はしていないようである。
日本の司法もひどいがそれとくっついているマスコミも相当ひどい。挨拶のない生意気な「ホリエモン」もそうやって排除されたのだろう。彼も急ぎすぎたという点もあるが。

とにかく、この本は読んで良かった。わかりやすく、私のような株や経済のことがそれほど詳しくない人でも理解できる。

阪神ファンにとっては村上ファンド=悪者であり、在阪のラジオ局なども軒並み阪神を買収しようなんてとんでもないやつということで旗を振りまくっていたように思う。今にしてみればあんたらのほうがよっぽどタチが悪いと思う。ラジオやテレビの乗せられる阪神ファンが馬鹿なだけかもしれないが。

会社は誰のもの?というのを今一度考え直す事ができた。

ニッポン放送も異常だし、東京スタイルも異常。

 

 

生涯投資家 (文春e-book)

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