悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

君の名は。

娘が買ってきた文庫。
まずは女房が読んで、そして私が読んだ。
スニーカー文庫。かなり久しぶりに目にする。
中学生、高校生の頃には読んだような記憶がある。
そして紙の文庫を読むのも久しぶりな気がする。
ここのところKindleやdMagazineなどタブレット電子書籍端末で読むことが多いので。

映画もものすごく良かったが、文庫も良かった。
文庫が原作なら、映画とは最後はかなり違う。
映画に出てこなかった母親、二葉がかなり重要な役割を演じている。
文庫を読んで、「君の名は。」の世界への理解がより深まったように思う。
ただの淡い恋愛物語として消化するのも良いが、それだけではもったいない作品だとも思う。
この本で前半の部分、第1話の「ブラジャーに関する一考察」は映画で描かれているものと同じ。
そういう意味では前半はあまり読む必要はないかもしれない。
第2話「スクラップ・アンド・ビルド」からは読む価値がある。
映画でも描かれて入るがより理解が深まっていく。
勅使河原建設の息子、テッシーにスポットライトを当てている。
第3話「アースバウンド」で描かれるのは妹の四葉である。
頭の良い、利発な、こましゃくれた、そういうイメージのあるしっかり者の四葉
姉との関係、育った環境などがより詳しくわかる。
終い揃って美人であるが、似ているようで性格はかなり違う。そして宮水の血筋としての才能もやはり違うのか、今後覚醒していくのかはわからない。
第4話の中心は宮水俊樹。
姉妹の父親であり、宮水の家の婿養子である。
なぜ宮水の神主の地位を捨て、政治の世界に身を投じたのかがよく分かる。
そしてこの第4話は妻である二葉、姉妹の母が主人公と言っても良い。
むしろこの本の本当の主人公とも言えるかもしれない。
神事に関しては厳格な祖母だが、娘の二葉には到底かなわない。
それはこの糸守という土地の人も認めてしまっているところである。
なぜ彼女は溝口俊樹と結婚したのか、その意味もこの本を読むとしっくり来る。
もちろん映画を見た前提だが。

ファンは言わずとも読んでいるんだろうが、「転校生」のノリで単純な恋愛者として片付けるのは惜しい作品なので、興味があれば読んで欲しいところ。

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