大変良かった。
見ていて迫力あるとか、単純にわかりやすい映画とか、そういうものではない。
むしろそういう映画、私や息子がよく見ている大衆娯楽の王道であるハリウッドムービー、Marvel作品に最先端のCGを駆使した作品を痛烈に批判しているような映画である。
この映画の特徴としてワンカット撮影(実際はいくつも編集やカットが入っていると思うが)で作品を通してカットがない。
そこには映画ならではの時間の切り方などがなく、現実と夢の間も分けることなく表現されている。
どこからが夢(幻想)でどこが現実なのかは映画を見ればすぐに理解できるけれど、通常はそれらを明確にするためにもカットが入ったりする。
また時間の経過もこの映画には意味が無い。
2時間の映画だが、ワンカットなら現実2時間しか過ぎていないということになるが、この映画では数日間が描かれている。ワンカットなのに。
もうその辺りはすごいとしか言いようがなく、こんな映画は今までになかったと思う。
主役に抜擢しているマイケル・キートンはバットマン作品の第1作に登場している人物。
1作目、2作目で主役を演じ、今でもバットマン俳優として有名なのであるが、その後は落ちぶれている(実際はこの映画ほどは落ちぶれていないと思っているが)。
そしてマイケル・キートンのバットマンの時代から少し経過した現在はマーベル作品などCGを駆使したハリウッド大作が大人気である。
個人的には大好きな分野で批判したくないが、それを痛烈に皮肉っている。
映画と舞台という違うステージで。
音楽もまたなんとも言えない。
ロックや派手なビートを中心としたノリの良い音楽はなく、渋いドラムソロが前編を通して演奏されている。(映画のワンシーンにも登場するが)
評価は別れる映画だろうと思う。
もともと観客よりも作り手がこうあるべき!なんてものを無理やり見せるタイプの映画は嫌いな方である。
この映画はどちらかというとそういう嫌いな映画のタイプであったが、面白かったのである。
そういや主人公と張り合う実力派俳優として登場する俳優はどこかで見たことがあると思っていたら、インクレディブル・ハルクのブルース・バナー役だったとのこと。
このあたりの配役も製作者は狙ったものだと強く思う。
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