悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

冬姫 葉室麟

蜩ノ記」、「銀漢の賦」という二つの作品しか知らないが、どちらも非常によかった。
読み応えがあり、深い感動もあった作品。
ちなみにどちらも歴史小説のようだが、架空の時代劇のようである。
今回の作品は女性が主人公。
信長の娘である冬姫、嫁いだ先は麒麟児の誉れ高い蒲生氏郷である。
今回は史実に基づいた作品でもあるので否応なく期待感は高かった。

読書前と後では随分と印象が違う。
読んだ感じは悪くないが、つまらない。
深い感動も面白さも特に感じなかった。
戦国時代に女のいくさがあった事はわかる。
帯に書かれていた文、
武家の女は槍や刀ではなく、心の刃を研いで戦をせねばならないのです」
この文章はすばらしいが、このフレーズよりも響くものは何もなかった。
しかもこの言葉は冬姫ではなく、乳母の言葉である。

うーん、なんというか時代劇、歴史小説は女性が主人公のものは概してダメ。
大河ドラマもそうである。女性が主人公でヒットしたものはあまりないような気がする。

やはり時代劇は激動の戦国時代や幕末が面白いのがわかるが、その時代に行きた女性にスポットを当ててもいまいちピンと来ないところがある。
またこの作品は実在の人物を描いているので自由なものを描けなかったのかもしれないが、内容が薄いというか共感を得るところも少ない。
忍び、妖術まがいのことも出てくるが、そういう類のものというわけでもなくそれぞれが浅く、軽い。
戦国時代の物語だけあって登場人物は皆が知っている人物ばかりだが、それぞれ魅力が感じられず、薄っぺらい印象しかない。
面白さに書ける本だった。

残念。

冬姫

冬姫

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