悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

96時間レクイエム

Taken3
リュック・ベッソンの「96時間」シリーズの3作目である。
ネタバレを含みます。

1作目の頃から、この作品に登場する女たちには苦言を呈してきたが、今回も元女房の糞っぷりが最初から出てくる。
元夫のところへ今の亭主の悪口を言いに来るとは…
「私って男を見る目がない」と元夫に訴えるなんて、非常識極まりない。
それでも元女房を愛している主人公の無敵の親父は優しく相談相手になっている。
男の中の男、男の鑑と言うのはオンナからの見方であって、ありえないわ。
とにかく元妻のレノーアの言うとおり、今の旦那は最低の人間というのがこの作品で証明される。
ま、ストーリーなんてこの映画にとっては大したことはない。この映画はブライアン・ミルズ演じるリーアム・ニーソンの理不尽な強さを見て楽しむ映画だし。

ともあれ、この作品で打ち止めだろう。タイトルもレクイエムだし。

相変わらず理不尽なほど強い親父だが、寄る年波には勝てない。
アクションシーンはスピード感がない。警察に捕まった後走って逃げるシーンなどはお年寄りそのものであり痛々しい。

再婚相手との夫婦関係はもう終わっている。そこにつけ込むのは女房だけではなく、相方も利用してくる。
圧倒的な強さを誇るブライアンだが、情けないほどに女房と娘に弱い。弱すぎる。ウィークポイントすぎる。
そこが男としての優しさとして描かれているのだろうか?ありえんわ。

夫婦関係を終わらせたい元女房が相談に来る。そして元鞘に収まりたい下心丸出し。どれだけゲスな人間なんだろうと思ってしまう。
元夫よりも金銭的に優れた大富豪とくっつき、高級車を駆って颯爽としているセレブな女性。しかし人間としては最低であろう。
今回は現在の夫であるスチュワートに保険をかけられ殺されてしまうというストーリーなので多少は同情はするけれど。

冒頭で巨額の金の貸借を巡って担当の顧問会計士が惨殺されるシーンから始まる。
そして元女房から「元鞘に収まりたい」と迫られる。
そこを利用したのが犯人。
元妻を殺害し、巧妙にブライアンを誘いだして、死体をブライアンの家に運びこむ。
元妻の死体を発見したタイミングと同時に警官たちが踏み込み、逮捕されそうになる。
ここで逮捕される訳にはいかないブライアンは警官たちを走って巻いてしまう。
かなり無理があるシーン。
その後、事件の真相を調べるフォレスト・ウィテカー演じるドップラー警部とどちらが先に真相を暴くかの競争になる。
いい俳優を使っているのでそれなりにしまった映画なんだが、やっぱりちょっと中途半端。
警部は見方なのか敵なのかはっきりしないし、あれだけ優れていたなら真犯人であるスチュワートを無警戒なんてやっぱりおかしい。はっきり言って間抜け。
最後のシーンで「私は最初からあなたが犯人でないのはわかっていましたよ」という台詞があるが、後出しジャンケンみたいでみっともない。
娘のキムも重要参考人としてマークされる。盗聴器までつけられて、プライバシーも何もあったものではない。
トイレ中に強引に入ってくるなんてありえんだろうし、そこは普通は女性警官なりを送ると思うが。
それよりもスチュワートに盗聴器もつけなかったのが間抜けすぎるし。
愛娘のキムも親父が警察に追われている大変なときに、自分の悩みを親父に告げる。
彼氏とできちゃった状態になっちまったという告白。
大変な状態にもかかわらず、今の状況以上にその言葉に打ちのめされる親父というのも笑える。
そんなこんなで警察を常に出し抜いて先に行くブライアン・ミルズだが、ガソリンスタンドでは呆気無く逮捕される。
警部の「奴は遊んでいる」という言葉どおり、あっけなくでもないけれど逮捕の後の護送中に逃走。
いや、あんなめんどくさいことになるなら捕まるなよなと思う。
高速道路で巨大コンテナがトレーラーから落下して転がるというとんでもない事故を引き起こしてしまうくらいだし、迷惑この上ない。
ラスボスと思われたロシアンマフィアの大物が実は大したことがなく、弱すぎる。
いくらでも殺せるチャンスはあったろうに、余裕をかましたわけでもないが、こんなに簡単に負けてしまうとは…。
殺しのプロであり、圧倒的な火力と兵隊を揃えていたにも関わらず、負けるか?
ま、格闘シーンがパンツ一丁なので締りがないし、そんな格好でめちゃくちゃ強くてもそれはそれでおかしいと思うが。


評論家やマニアには映画の評価はそれほど良くないらしいが、文句を言いつつも私は面白かった。
一般の客にも概ね悪くはなかった模様。とりわけ50代の女性には評価が高かったようである。
「ゴーンガール」の主人公に対する評価も女性は同情するらしい。
いや、性別によって評価も変わるんだな。

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