悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

よろずのことに気をつけよ 川瀬七緒

2011年の江戸川乱歩賞を受賞した作品。
呪いをテーマにした推理小説
推理小説としては微妙な感じもあり、またホラーというには怖さが全く足りない。
しかし話の内容はとても面白かった。
主人公は文化人類学者で祖父が殺された女性の依頼を受け、その真相を追いかけているうちに古くから伝わる呪術にまつわる謎に突き当たる。
かなり特殊な設定でまさに小説向きの題材であるが、中盤から後半にかけては被害者の孫、ヒロインと主人公とが一緒に行動することになりテンポもよく読みやすかった。
それだけに最期、ラストがちょっと物足りない。
もう少しうまく描ききれなかったのだろうかと思う。
仮にも二人を抹殺しようとした人たちをかばうというのはいくらなんでもありえないと思ってしまうが。
それとともに被害者である祖父は果たしてああまでして呪われなければならないほどひどい人物とは思えない。
成り行き上、大物政治家の身内をかばうために行った行動と思えて仕方がない。きっと本人は救助、あるいは自首したかったに違いない。(そうなると消されることになるだろうけど)
なにかすっきりしないところがある。
それに50年もの間呪い続けるにしてはその理由がありふれている。もちろん自分の子供がああいう形で殺されたという怨みは理解できるが、もっとすごい理由、仕掛けを期待していた割には「なーんだ」という感じが否めない。


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