悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

氷海のウラヌス

大ヒット作「永遠の0」を読んだ人はこの本も楽しめるだろう。
今回はゼロ戦ではなく、仮装巡洋艦という特殊な艦船での話が中心。
軍艦としては主役になるような存在ではないが、太平洋戦争が目前に控えた日本、と泥沼化してくる第2次世界対戦のドイツ。
ドイツと日本の外交を舞台にした謀略が背景にある物語である。
冒頭の部分はつまらなく、実際に航海に出て、海戦を交えることによって俄然面白くなってくる。
登場人物が格好良すぎる。
堀場大佐、および魚雷の専門家、「水雷屋」の望月大尉が日本海軍の秘密兵器である93式魚雷を手土産にドイツに対米宣戦布告をさせるという密命を帯びて、仮装巡洋艦ウラヌスへ乗り込む。
このウラヌスの艦長ハイケンを始めとする乗組員たちがまた熱い男達である。
平和なこの時代には感じることのできない命をかけた戦いを通して気づかれていく「戦友」としての一体感。
みんな格好いいのである。
そして悲惨である。
小説であるので色々と細かい突っ込みどころはあるだろうけど、読み応えがある。

氷海のウラヌス

氷海のウラヌス

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