悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

慟哭 貫井徳郎

警視庁捜査一課の課長である佐伯と、心の奥に開いた穴を埋めるために新興宗教に救いを求めた犯人との行動が交互に描かれる作品。
最近よくある手法なのかもしれない。
この本のストーリー全体に関わる大きなトリックによって犯人は最初から描かれているが、終盤になるまで分からない仕掛けになっている。

ストーリーを簡単に書くとネタバレ。
そしてこのネタこそがこの小説の醍醐味である。小説ならではのトリックであり、映画化はちょっと難しい。

頭脳明晰な警察官僚、キャリア組の主人公が追いかけるのは幼女連続誘拐犯。
いろんなシガラミがあり、夫婦間は不仲で唯一の肉親である娘との関係も良くないが、娘に対する愛情は深い。
それだけにこの誘拐犯を憎む気持ちは非常に強く、遅々として進まない状況を打開するために犯人に向けて挑戦的な言葉を発する。
結果、娘は帰らぬ人となり…

アッと驚く終盤の展開。

それにしても幼い子供が誘拐されて、皆遺体として発見されるという結末はなんともやりきれない。
エンディングの犯人の言葉が素晴らしい。

慟哭 (創元推理文庫)

慟哭 (創元推理文庫)

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