人気のガリレオシリーズらしい。私はテレビのガリレオを見ていないが、映像で見てしまうとどうしても湯川が福山雅治とかぶってしまう。そのため湯川に対してなんとなく良いイメージを持てない。まあ、作品の中の湯川もかなり付き合いにくそうなタイプとして描かれているけれど。
ともあれ、短編小説でまとめられていて、読みやすい。すんなりと読みきれてしまったが、あまり印象に残った作品がない。どれも読んでいてそれなりに面白いのだが、うーんとうなるようなものは何もなかった。
第1章 夢想る ゆめみる
不思議な事件でワクワクする展開ながら尻すぼみ感が大きかった。
第2章 霊視る みえる
殺された女性には申し訳ないが、幸運の写真とか撮影したとかでそれを元に強請るとは、殺されるに十分な理由があったような気がする。
第3章 騒霊ぐ さわぐ
誠実で善良な夫の死が悲しすぎる。寂しかったとはいえ、ろくでなしの甥っ子夫婦を家に上げたために死を早めてしまったお年寄りもかわいそうだが、そのお年寄りのことを気にかけて家によったために殺されてしまうとは…。
第4章 絞殺る しめる
保険金殺人ではなく、保険金を得るために自殺。ただし、自殺は保険契約して1年以内は保険金がおりないが、殺されたとなると話は別。これの後味が悪いが、保険金詐欺とはいえ、自らの命と引き替えにしただけに保険屋には金を出せと言いたい。善良な中小企業の社長の最後の手段だっただけに。
第5章 予知る しる
不倫、浮気が題材。煮え切らない浮気相手を脅すための狂言自殺が事故で死んでしまうことに。魔女のような恐ろしい女、まるで「危険な情事」のよう。それにしてもここに登場する人間たちのどろどろした関係が気持ち悪い。
どれもトリックが巧妙であるように見えて、短編だけに強引さばかりが目立ってしまう。予知夢、オカルトというものを科学的に解明してトリックと納得させるための無理矢理感が強くて、どうも楽しめなかった。
そして序盤の引き込み方はさすがでついつい読んでしまうが、それだけに種明かしの後のガッカリ感が強かった。
やはりもう少し眺めの長編の方がいいのではないか?
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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