悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

心とろかすような マサの弁明 宮部みゆき

先日読んだ「火車」が面白くなかった。これまでに縁がないのかあまり読む機会もなかったが、たまたま家にあった本、おそらく妹のものだろうが、を手にとって読んでみたら軽くて読みやすかった。
マサというのは警察犬を引退して蓮見家に買われている犬、ジャーマンシェパードのことである。人間の言葉を理解し、彼を通して物語が語られる。「吾輩は猫である」や「ドン松五郎の生活」と同じパターンである。
そして蓮見家は探偵事務所を営んでおり、舞い込んでくる事件をご主人様である蓮見家の長女加代子とともに解き明かしていくという中編ミステリー集である。
長さも読みやすく、内容もわかりやすい。登場人物設定も非常に良いので、ドラマ向きであると思っていたらすでに何度かドラマ化されているようである。こういう内容ならシリーズ化も可能だ。2時間もののサスペンスなどでも調度良いのではないかと思った。

犬が主人公ではあるが、彼の目、言葉を通して人間の世界を描いている。殺人などの描写はないものの、内容はもっと軽くても良いとは思うが、それだとインパクトに欠けるのだろう。実際の探偵でこれほど殺人に関わるのはやはり小説の世界。

面白いので、読んで損なし。

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