悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

軍師二人 司馬遼太郎

司馬遼太郎の戦国時代の短編小説。
戦国時代だが、RPGでいうところのメインストーリーから外れたサブストーリー的な短編ばかり。
まだ全部は読んでいないが、女性が登場する物語が多い。登場する女性はどれも個性があり、前半はなんという悪女ばかりを集めたものかと思っていた。

「雑賀の舟鉄砲」は傭兵集団雑賀衆本願寺、そして別所長治の籠城の話。なんともやりきれない結末ではあるが、武家とはいえ実際には勇ましいだけではなかっただろう。損得勘定が働いたに違いない。そこに登場する鶴という女性が情欲の強いどうしようもない女だと思っていたが、別所の居城に乗り込んだ宗教集団である本願寺はその数段上を行く狡猾な人間であった。いやあ、宗教って恐ろしいね。
信じるものは救われるではなく信じるものは足元をすくわれる?

「女は遊べ物語」に登場する女房はこれ以上ないほどの浪費家の悪女。しかし惚れた女房に対する弱みか、頭は上がらず、出生よりも女房に費やす金に追われる男の物語。

徳川家康の側室はちょっと変わり者ばかり。関が原を前に大阪城に置き捨てにされた古女房たちお守りを頼まれた佐野綱正の苦悩を描いた「嬖女守り」。冴えない武士かもしれないが、それなりの才覚モノであったはず。最終的に彼女たちを捨てて伏見城で討ち死にすることを選んだ綱正に同情せざるを得ない。同時に家康の側室の恐ろしいことも実感。

これも関が原にちなんだ話で関が原前夜に東軍、西軍の二人の男に抱かれた女とそのサムライたちの話。「雨おんな」。ここに登場する「おなん」という女性も相当な変わり者である。

既婚のみでありながら現在の夫婦生活が面白くなく、実家に戻った小若という女性の物語、実家から帰る途中にそのむらの風習である生贄に自らなり、そこにいた浪人と一夜の契りを結ぶという話。「一夜官女」

現在ここまで読んだ。
残りが少し楽しみ。

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