久しぶりに楊令伝の続きを読んだ。
正直言って童貫戦が終わったあとはかなりテンションが落ちてしまう。つまらないとまでは言わないないけれど、やはり盛り上がりにかけている。
今回の題字には「瓊英」。なぜ彼女を選んだのかよくわからないし、イマイチキャラクターとしても馴染みがないというか印象が薄い。この巻でもそれほど目立っていないし疑問だ。そもそも水滸伝などの小説に女性はそれほど必要ない。骨太の男の物語だと思うだが。
とりあえず、宋が滅んだあと、金と梁山泊と宋の残党と童貫の部下であった岳飛、劉光世、張俊などが今後の国のありよう、覇権をめぐってめまぐるしく駆け引きをするが大きな戦いもなく盛り上がりに欠ける。
水滸伝からの物語で非常に長く、また時間的にも総統な年月が過ぎている。そのため主要な人物はドンドン亡くなり、代わりに二世たちが活躍するという日本の政治家やタレントたちのような様相である。それらがみんな親と同じようによく出来るのがまさに小説だと思わざるをえない。
主人公の楊令もあまりに出来すぎで、そのために魅力が乏しく感じる。やはり豪快ではあるがどこかに欠点がありそこが愛嬌であったり魅力であったりするものだ。それが武に優れ、胆力もあり、思考も深く、皆から強い信頼を受けているというまさに小説しかありえないと思うし、そこがどこか無機質な漢字がしてしまう。
子午山に隠棲している王進ももはや仙人のようである。あそこから巣立った人間はほとんど超人みたいな活躍をする。一体どんなすごい教育を施してそのようになれるのか不思議だ。
- 作者: 北方謙三
- 出版社/メーカー: 集英社
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