悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

おおかみこどもの雨と雪 細田守

女房から借りて読んだ本。挑戦的にこの本の内容をどう思えるかと言われた。とりあえず読むことにした。
映画化されているのは知っていたが、内容は知らない。
主人公は大学に通う「花」という名前の女性。父親に育てられたがその父も他界し、孤独の身であったが、大学生となってアルバイトと学業をまじめに健気に生きていた。
彼女が学校で見かけた男性と恋に落ちる。その男は狼と人間の血を引く狼男だったが、二人は深く愛しあっており、二人の子供の「雪」と「雨」を生む。
貧しいながらも幸せなときは長くはなかった。生活を支えるために一生懸命働いていた男だったが、男は事故で亡くなる。姿は狼になっていたので葬式も上げられなかった。
二人の子供はすくすくと育てば問題ないが、一人の親として普通のこどもでない彼ら二人を育てるのは並大抵ではない。彼らは時折狼になるおおかみこどもだった。元気すぎて手を焼く長女の「雪」と病弱な「雨」。街で生きていくのは無理と判断し、人里離れたところへ住み着く。
そこでの生活は決して楽なものではないが、愛する子どもと暮らしを守るために頑張っている姿が描かれる。
結局、やんちゃな「雪」は女性として、人間として生きる道を選び、弟の「雨」は狼として森に残ることになる。なんとも切ない感じの話。

なかなか良い感じの本だった。何が言いたかったのかはわからないが、強い母性を感じさせる本。子供の生き方を考えさせてくれる本である。
父の存在が殆ど感じられないが、短いながらも深く愛し合っていたこともよく分かる。幼い頃の様子とその後の育ち方で大きく変わる。
「雨」が人間として生きるよりも狼として生きることを選んだのは「花」にとっては良かったのか、悲しかったのか。彼にとってはそれが最善であったのだろう。

「雪」のクラスメートの転校生草平くんがなかなかいいキャラクター。さしずめおとこおおかみと「花」との恋を逆にしたような感じ。「雪」のことをおおかみこどもと知りながらもけっして非難せず、しっかりと受け止めてくれる。影の主人公だろう。

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