悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

焦茶色のパステル 岡嶋二人

岡嶋二人という作家は一人ではなく二人の作者の共作のペンネームらしい。
以前「チョコレートゲーム」と言う作品を読んだ。その時の作者であったということは全く忘れていた。チョコレートゲームは結構話題作だったのか、そういうノリで読んだけれど、全く面白くなかった。読者としての私に訴えかけるところがなかったと思う。文章は読みやすかったけれど、内容には今ひとつのめり込めるところもなく、読み終えてからの記憶も曖昧。学校内のたわいない話が元のミステリーだったように思う。ノリとしては携帯小説ライトノベルのような感じかな。
今回読んだ「焦茶色のパステル」は「チョコレートゲーム」よりは本格的な話のようだ。舞台は競馬界である。最後に用意されたオチが良かった。なるほどそういうことかと納得できるところと無理があると思える部分とが半々。
主人公は夫である大友隆一を殺された妻、香苗である。夫の隆一は競馬情報誌「パーフェクト・ニュース」の会社に務める人間。そして、物語を進めていくための探偵役が親友の綾部芙美子。彼女も競馬情報誌の「パーフェクト・ニュース」に務めるOL。「パーフェクト・ニュース」のボスは山路亮介。その妻山路頼子は「ヤマジ宝飾」という宝石店のオーナーでそこに勤めているのが主人公の香苗という人間関係。なんとも狭い世界に人間がひしめいている感じがする。
ハナから夫の隆一が死ぬ。夫とは旨くいっておらず、離婚を考えているタイミングでの死であった。事故か殺害か?が不明なまま死んだ現場に向かう。夫が死んだのは牧場。牧場長である深町と2頭の馬も死亡。死因は射殺。武器は猟銃。
殺された事件の背後がだんだんと明るみになっていく。警察とは違い、ヤマジビルの中にある「パーフェクト・ニュース」と「ヤマジ宝飾」、そして同じくヤマジビルにある喫茶店「ラップタイム」の中で交わされる会話で真相究明へ突き進んでいく。なかなか面白いストーリーである。
まあ、主人公の親友の芙美子がスーパーウーマン過ぎて、キャラが際立ちすぎていて、主人公の影が薄い。色恋の話は殆ど無く、競馬界を舞台にした事件の真相が徐々にわかってくる。競馬を知っている人間はもちろん知らない人間も楽しめる作りになっている。

焦茶色のパステル (講談社文庫)

焦茶色のパステル (講談社文庫)

チョコレートゲーム (講談社文庫)

チョコレートゲーム (講談社文庫)

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