悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

黒猫館の殺人 綾辻行人

綾辻行人 館シリーズをまたしても読んでしまった。まあ、このシリーズはファンが多いようだが、この作品は綾辻作品にしてはかなり早く仕上げたようである。だからといって出来が悪いとかそういうことはないが、今回は今までのような大量殺人ではなく、そういう意味では怖さに欠ける。
いつもどおりの鹿谷門実こと島田潔と江南孝明のもとに謎の記憶喪失の人物、鮎田冬馬が現れ、自分が何者か調べて欲しいという。記憶喪失の原因は火災。一切のものを火災でなくしてしまったが、唯一残っていたのは肌身離さず持っていた手記。この手記によればこの鮎田冬馬は黒猫館という別荘のの管理人をしているという。そして手記の中に書かれていたものは持ち主の息子の風間裕己とそのバンド仲間たちがここに訪れ、その中で人が死んだということ、また死んだ人を隠蔽していることなどが書かれている。
こんな突拍子も無い話はいつもながらのこと。現実離れした設定は本格ミステリには必要な条件とまで言いたげな綾辻作品。今回も本当にそれを貫いてくれている。そして最後にどんでん返しが・・・・。
まあ、この作品はどんでん返しと言うにはチョット残念な感じ。ファンの間でも評価が分かれるが概ね出来は悪いようである。
個人的にも十角館の殺人時計館の殺人と比べるとトリックもストーリーもつまらないなあと思わざるを得ない。人形館の殺人とどっこいどっこいか、あるいはそれよりも下かって感じ。
まあ、あんまりおすすめはしない。シリーズで読んでいる人ならそれなりに楽しめるかも。

黒猫館の殺人 (講談社文庫)

黒猫館の殺人 (講談社文庫)

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