悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

十角館の殺人  綾辻行人

綾辻行人のデビュー作らしい。
彼の本は読んだことがないが、職場の仲間が貸してくれるというので、読んでみた。
なんとも古風な感じのする推理小説である。
現実にはありえないよなって言うくらい特殊な設定。
変な建物。
無人島。
ミステリー研究会。
こんなへんてこな設定を素直に受け入れられないおっさんだが、読むと引き込まれる。
なぜだろう。
ともあれ、強引とも言えるストーリー、展開。しかしこれが昔ながらの推理小説
叩けばボロが出てきそうだが、勢いがある。読者に読ませる勢いがある。

映画化不能の作品。
確かに映画にできない。キャストがそのままトリックになっているし。
どうして登場人物がニックネームだったのかが、最後の方になってわかった。
俺って鈍いなあ。

とにかく、面白い作品だ。

十角館の殺人 (講談社文庫)

十角館の殺人 (講談社文庫)


ネタバレ・・・
犯人は最初から登場する。
いきなり怪しい。というか怪しすぎるし、どう考えても一番犯人になりやすい立場にいる。
しかし、作品では7人の中で目立たない役回りになっている。
本当に目立たないので、犯人とは思えなくなる。
十角館というからこの建物にトリックがあるのか、と思い込んだら大間違い。
トリックは登場人物にある。そう、彼らはすべて本名はわからない。彼らの間ではみんなニックネーム、
ミステリの大家たちから拝借したニックネームで呼び合う。
ポー、エラリー、ヴァン、アガサ、カー、ルルー、オルツィ、の7名が十角館に合宿に行く。
そこで起こる連続殺人を描いている。

この作品の主人公は犯人なのだが、途中までは事件解決に挑む元ミステリ研究会のメンバー江南が主人公
だった。江南が「かわみなみ」ではなく、「コナン・ドイル」、その親友の守須「もりす」は当然
モーリス・ルブラン」だと思ったのだが・・・。

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