短編ではなく、読み応えのある作品4つが入っている。
「長く孤独な誘拐」
よくあるタイプの誘拐事件。謎の真犯人はいったい誰か。ラストになってはじめて明かされる真相。実行犯を操る真犯人はいったいどんなやつなのか。よくある題材ながら、展開のテンポもよく、面白く読めた。
「二十四羽の目撃者」
これはまた、変わった作品。同じ作者のものかと疑ってしまう。設定が外国、アメリカなので、ちょっとハードボイルドタッチでおしゃれである。主人公は保険会社の調査員。保険者が殺された?不可解な事件を解く。
「光と影の誘惑」
タイトルになっている作品。設定に無理が有るような気もするが、文章がうまいのでそれほどおかしくも感じない。やっぱり最後にどんでん返しが待っている。
「わが母の教えたまいし歌」
この作品が一番心に残った。一人っ子の主人公が父の死と共に知る過去。それを伏せていた母。母の過去をたどるうちに行き着く先は?なんともいえない後味が残る作品。
通常の短編よりは読み応えがある長さ。長編推理小説などに飽きた人はお口直しにいいかも知れない。
- 作者: 貫井徳郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2002/01
- メディア: 文庫
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