悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

負けてなお強し 〜ワールドカップ

準決勝 オランダVSウルグアイ 結果はオランダが3−2で勝利。結果は危なげない勝利ともいえるが、前半のスーパーミドルシュートが決まって1−0で守りに入ってしまったのか、その後はウルグアイのペースで試合は進む。前半にエースのフォルダンのミドルシュートで同点。後半に入ってもウルグアイのペースで進む。オランダは動きがいまいち。
スナイデルのシュートがディフェンダーに当たり角度が変わる。そのボールをファンペルシーが触れていればオフサイドだったが、空振り?だったのか。微妙な判定ではあるが、結果はゴールとなる。この1点は大きかったが、動きの悪かったオランダが息を吹き返す。2-1となった直後にロッベンのお手本のようなヘディングシュートが決まり試合の行方をほぼ決定づけた。
しかしこれであきらめないのがウルグアイ。同点ゴールをたたき出したエースのフォルランがまさかの交代。この試合はもう一人のエース、スアレスを出場停止で書いているのも痛かったが、ここに来てエースがいない。もはや打つ手なしと思われていたものの、終了間際のセットプレーから1点もぎ取り、1点差。ロスタイムも十分に残っている。何が起こるかわからない不気味さはオランダにもあったと思う。
戦前の予想から圧倒的にオランダ優位。私もそれに異論はないが、ウルグアイの試合巧者ぶりはすごいと思う。やはり強敵のいる南米予選を戦い抜くにはこのようなしたたかな戦いが有効なんだろうと思う。まずはディフェンス。チームとしての意識が高く、中央には圧倒的な数的優位で守りぬくというスタイル。一方、攻撃は一瞬の隙をつくカウンターや手数をかけずにゴール前まで持って行き、シュートというスタイル。守備で数的優位に立つということは攻撃では常に数的には不利な立場で戦うということの裏返し。それを打開するのは安全なプレーではなく、思い切りに良いプレー。パスしかり、ドリブルでの突破然りである。当然失敗も多く、奪われることも多いが、チャレンジなくしてチャンスもないということを徹底している。ブラジルやスペインのような華麗なパス回しのサッカーとは対照的である。
本当に派手さはないが、強かったという印象。出来るならエース、スアレスがいる状態で戦って欲しかったとも思うが、それは前回のハンドでレッドカードなので仕方ない。あの行為自体も何かと問題があるが。→本来ならガーナの認定ゴールで敗退だろうな。

今大会の既に敗れ去ったチームでも負けてなお強しのイメージのチームはあった。グループリーグでスペインを破ったスイスも堅い守備を誇り、シンプルなカウンターでワンチャンスをモノにするチーム。チリとの戦いも白熱したいい試合だった。スペインと戦ったパラグアイも非常に堅い守備を誇るいいチームだった。日本との120分の死闘も印象に残るいい試合だった。まだ勝ち残っており、優勝の可能性も高い強豪ドイツもグループリーグでセルビアに負けた試合も、負けてなお強しの印象が強い試合だった。前線からガンガンプレスを掛けるフォワードのクローゼがやや厳しめの警告を受けて退場し、10人になった直後のドサクサにセルビアに1点もぎ取られてしまったが、その後は数的に不利なドイツがリスクを冒して圧倒的に攻めまくるという試合で見ごたえがあった。破れはしたものの、ドイツはやっぱりワールドカップで強いという印象を受けた。決勝トーナメントに入ってからの強さはさらに際立っている。強豪のイングランドに4−1。優勝候補のアルゼンチンに4−0とは誰が予想できただろうか。
その反対に期待はずれも多かった。イタリア、フランスは前評判から芳しくなかったが、ここまでひどいとは思わなかった。イタリアは完全に世代交代に失敗した感が強い。フランスはもはやチームではなかった。やはりジダンプラティニというスーパースターがいないとまとまらないのか。ここのタレントはリベリやアンリなどポテンシャルの高いプレーヤーがいたのにである。カメルーンもチームとしてまとまりがなかったが、フランスはそれ以上である。監督をほったらかしてチームのバスが出て行くとか、練習ボイコットなんて、学生のクラブでもあり得ないと思う。お笑いレベル。
アルゼンチンは弱者には強いものの、ほんとうに強いチームとは戦う戦術がなかったように思う。メッシを生かせず、マラドーナが目立っただけで、終わってしまった。ブラジルも然りである。日本VSパラグアイの試合を全試合で最も退屈な試合と酷評したが、オランダ戦の前半の圧倒ぶりからの逆転負けを見ると、もう少し人間としての器を鍛えないといけないのではないかと思う。ああいう試合で負けるというのは肉体的技術的な差ではなく精神的な差だと思う。他の国のサッカーの批判をするというのも強い自惚れと油断があったのも間違いないと思う。個人の能力の高さは本当に高く、メンバーの誰でも他の国ではエースクラスは間違いない。ただ、個が強すぎるがゆえに、戦術として、チームとしてひとつになりきれなかった。次回は自国のブラジル。何がなんでも勝つということにこだわり、ぜひ強いブラジルで優勝して欲しいものだ。
スーパースターのC.ロナウドを擁するポルトガルも期待はずれ。とはいえ、負けた相手がスペインだからまあ仕方が無いのかも知れないが、グループリーグで北朝鮮から7点もとった割には強さは感じられなかった。

明日はドイツVSスペイン。本当に見たい試合である。スペインがドイツのように勝利にこだわるサッカーが出来ればいいが、どうだろうか。マスコミはスペインを押しているようだが。なんていうかいつもドイツはワールドカップでこれほどまでに好成績なのに人気がない。一方、無敵艦隊というネーミングは嫌味でしかないほど、ヨーロッパ予選では抜群の成績なのに、ワールドカップではさっぱりなスペイン。ここで一矢報いることができるか?
クローゼのワールドカップ通算得点王とスペインのスーパーストライカーのビジャが注目選手。

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