伊坂幸太郎の作品はいつも読んでいていすぐに世界に引き込まれるような感覚がある。
今回のまおうという作品もそういう類のものであった。
ふとしたことから自らの力を知る兄、その力で自分の考える通りの行動を貫いた兄は命を落としてしまう。
おそらくは自信と同じような能力の持ち主、たぶん行きつけのバーのマスターの仕業であろう。
兄が死んでから、能力が芽生えたのは弟である、兄とはまた違う能力である。
生前兄が、大きなことをするのは弟だと言っていた。
若手の有力議員の犬養も重要な役割を果たす。
途中までは彼こそが能力のある人物だと思っていたが、そうではないようだ。
伊坂作品によくあることかもしれないが、なんとなく終わりがしまりがない。
正直言って大団円のような終わりを望むありきたりの読者には物足りない感がある。
なぜか中途半端な感じがして「なんだかなあ」と思ってしまうのだ。
あと不思議に思ったのはこの作品は第1部の兄編と第2部の弟編に分けられると思う。
兄編では兄の目線で語られるが、弟編では弟本人ではなく、弟の妻の詩織の目線で語られることである、
うーん、途中まで非常に面白かったので興味をそそられたが、終わりが近づくにつれ、どういう落ちがあるのかと期待していたのに肩すかし。そんな印象が強く残った作品。
まあ、オチが必ずないといけないというわけでもないのでそれはそれで仕方ないか。
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